出雲神話2/5 オオクニヌシ物語 因幡の白うさぎ


出雲大社 大国様と白うさぎ像

ヤマタノオロチを退治して一躍ヒーローになったスサノオノミコトの孫の孫の孫、つまりスサノオノミコトから数えて6代目にオオクニヌシノカミが誕生しました。

たくさんの兄弟の末っ子としてオオクニヌシノカミは出雲に生まれ、出雲に育ちましたが、何かにつけてお兄さんたちからいじわるな仕打ちを受けていました。 しかし、そんな兄たちのいじめにも負けず、オオクニヌシノカミは心やさしき神として成長していきました。

「因幡(いなば)の白ウサギ」で有名な大黒様は、このオオクニヌシノカミのことをいいます。

ある日のこと、オオクニヌシノカミの兄たちは、美しいことで評判のヤカミヒメにプロポーズしようと、出雲から現在の鳥取県である因幡(いなば)の国に向けて出かけました。 オオクニヌシノカミも兄たちの荷物持ちとして、大きな袋をかついで後ろからついて行きました。

出雲の国にだいこくさまという神様がいらっしゃいました。その神様はおおぜいの兄弟があり、その中でもいちばん心のやさしい神様でした。

オオクニヌシノカミが気多の岬(けたのみさき)という海岸を通りかかったときのことです。 全身の皮をむかれて真っ赤になった白ウサギが泣いているではありませんか。

おなじみの「大きな袋を肩にかけ、大黒様が来かかると、そこに因幡(いなば)の白ウサギ、皮をむかれて赤裸」という童謡の場面です。 そして、その気多の岬(けたのみさき)が現在の鳥取県白兎海岸(はくととかいがん)だといわれています。

隠岐の島にいた白ウサギは、なんとかして向こう岸に渡りたいと思っていました。 しかし、船もありません。 そこでサメをだまして渡ることを思いついたのです。

海岸にいたサメに、自分の仲間とサメの仲間とどちらが多いか比べてみようと声をかけ、向こう岸までサメを並ばせました。 そして、サメの数を数えるふりをして背中を渡って行ったのです。あと少しで岸に着くというときになって、白ウサギも油断したのでしょう。 サメをだましたことをしゃべってしまいました。

さあ、大変!白ウサギは怒ったサメにつかまって、全身の皮をすっかりはがされてしまったのです。

兄弟たちが因幡の国の気多の岬を通りかかったとき、体の皮を剥かれて泣いている一匹のうさぎを見つけました。 兄弟たちはそのうさぎに意地悪をして、海水を浴びて風にあたるとよいと嘘をつきました。

そのうさぎはだまされていることも知らずに、言われるまま海に飛び込み、風当たりのよい丘の上で風に吹かれていました。  そうしていると海水が乾いて傷がもっとひどくヒリヒリ痛みだしました。

前よりも苦しくなって泣いているうさぎのところに、後からついてきただいこくさまが通りかかりました。

それから、私が痛くて泣いていると先ほどここを通られた神様たちが、 私に海に浸かって風で乾かすとよいとおっしゃったのでそうしたら前よ りもっと痛くなったのです。

だいこくさまはそのうさぎを見てどうして泣いているのかわけを聞きました。 そのうさぎは言いました。

わたしは隠岐の島に住んでいたのですが、一度この国に渡ってみたいと 思って泳がないでわたる方法を考えていました。するとそこにワニ(サメ)がきたので、わたしは彼らを利用しようと考えました。

わたしはワニに自分の仲間とどっちが多いかくらべっこしようと話をも ちかけました。

ワニたちは私の言うとおりに背中を並べはじめて、私は数を数えるふり をしながら、向こうの岸まで渡っていきました。

しかし、もう少しというところで私はうまくだませたことが嬉しくなっ て、つい、だましたことをいってしまいワニを怒らせてしまいました。そのしかえしに私はワニに皮を剥かれてしまったのです。

だいこくさまはそれを聞いてそのうさぎに言いました。 かわいそうに、すぐに真水で体を洗い、それから蒲(かま)の花を摘ん できて、その上に寝転ぶといいと教えてやりました。

そういわれたうさぎは今度は川に浸かり、集めた蒲の花のうえに、静かに寝転びました。 そうするとうさぎのからだから毛が生えはじめ、すっかり元のしろうさぎに戻りました。

そのあと、ずい分遅れてだいこくさまは因幡の国につかれましたが、八上比売(やかみひめ)が求められたのは、だいこくさまでした。

オオクニヌシノカミに言われた通りにした白ウサギは、やがて元に戻り、親切なオオクニヌシノカミに心から感謝しました。 「大黒様の言う通り、きれいな水に身を洗い、ガマの穂わたにくるまれば、ウサギは元の白ウサギ」という
このあと、大国命は出雲にやってきた八上比売(やかみひめ)と結ばれたのでした。

有名な童謡のシーンです。
2009/09/06
引用:社団法人島根県観光連盟・島根県観光振興課

因幡の白うさぎの意味は?

ヤマタノオロチを退治して一躍ヒーローになったスサノオノミコトの孫の孫、つまりスサノオノミコトから数えて6代目にオオクニヌシノカミが誕生しました。

たくさんの兄弟の末っ子としてオオクニヌシは出雲に生まれ、出雲に育ちましたが、何かにつけてお兄さんたちからいじわるな仕打ちを受けていました。 しかし、そんな兄たちのいじめにも負けず、オオクニヌシは心やさしき神として成長していきました。-隠岐の島にいた白ウサギは、なんとかして向こう岸に渡りたいと思って、海岸にいたサメに、自分の仲間とサメの仲間とどちらが多いか比べてみようと声をかけ、向こう岸までサメを並ばせました。そして、サメの数を数えるふりをして背中を渡って行ったのです。あと少しで岸に着くというときになって、白ウサギも油断したのでしょう。 サメをだましたことをしゃべってしまいサメにつかまって、全身の皮をすっかりはがされてしまいます。

これは、隠岐の島を治めていた白兎に例えられる豪族が、因幡を攻めようとして失敗し、オオクニヌシが助けて隠岐の島を穏やかに平定したのち、プロポーズした兄たちには見向きもせず、オオクニヌシノカミを夫に選んだ因幡の八上比売(やかみひめ)はウサギが予言したとおりオオクニヌシはヤガミヒメを得ます。これは隠岐の豪族が穏やかに因幡にオオクニヌシと協力せよと伝え、隠岐・因幡を平定したということではないでしょうか。