ロシアとアメリカの交渉

ロシアが北方領土への日本側の人道支援を拒否する姿勢を打ち出した背景には、「ソ連崩壊以降の困窮状態を脱し、経済復興を成し遂げたロシアには、もはや支援は不要だ」という自負がちらつく。崩壊したときが交渉のチャンスだったと思いますが、日本政府の外交や緊急時の対応には敏速さが欠けていることに苛立ちます。
ロシアが石油が高騰し崩壊の危機が免れたのですがここにきて石油が値下がりしたことによって、サハリンの開発に消極的になり、日本との開発協力や供給にメリットが薄れたのが今はない、また、グルジアとの問題があり、第二次大戦前に中国とアメリカに日本をやらせといてドイツとの戦争に集中した戦略経験から、石油がまた高騰するまではひとまず北方領土の外交カードを引っ込めたのが本質ではないでしょうか。KGB出身のプーチンならそれぐらいのことは熟知しているでしょう。もちろん、日本の政権交代でごたごたの中で今の政府では進展しないことも承知のはずです。
また、同じくしてクリントン元大統領の訪朝です。報道を見るとさすがに元大統領はすごいなと思いがちです。私的な訪問で資産家のプライベート機で費用の20万ドルは資産家の自費だったとか見え透いたうそをつく。勝手に国交のない北朝鮮や青森三沢の米軍基地で補給など許可しない。まして民間機のプライベート機なら軍事空域を飛行はできない。
アメリカ女性記者の開放に向かう動きは、政府諮問機関が水面下で何ヶ月も動いていたといいます。クリントンは元大統領だから実行できたというよりも、米政府の交渉ではなく非政府の人道支援であることを強調し、落としどころとしてオバマ大統領と同じ民主党の元大統領だから北朝鮮も拒否できない態勢にすることで、瀕死状態でアメリカしか頼るところのない北朝鮮のメンツを立てるというお互いのメリットを出し、すみやかに実行しただけに過ぎません。オバマにしても国内事情からの支持率低下と民主党の名目をアップさせるねらいがあったのです。

君主ではなく大統領や首席が最高位である米・ロ・韓、共産党一党独裁中国・北朝鮮などは、世界情勢にすみやかに対応するための判断が国の代表に絶対的権限がありますが、独断で行っているのではなく、政府とは別のトップ集団がいます。それらの国は、ついこないだまで核攻撃や軍事衝突という緊張体制から、いつでも緊急に動くことができる体制に慣れているのでしょうか。
それに引き替え立憲君主制の日本政府は、国防を日米安保に守られてきたことで、緊急対応ができないばかりか、平和主義を知っていますから攻めてこないと相手国に足元を見透かされてています。しかし、戦前の世界大戦でも日本は天皇や首相に絶対的権限がありませんから、開戦のときも終戦の決断も協議が難航した経験があります。
だからといって、ナントカ実現党などは大統領制にしようというマニュフェストですが、日本は立憲君主制をとっている古い国家なのでできませんしその必要性はあまりありません。それに引き替え、米朝は君主を否定した歴史が浅い国なので外交を行うにははっきり主張することでリーダーの存在感を内外に示す必要があります。日本は文化的に成熟した国なので、そこまでいわずとも分かるだろうという意識があり、いいたいことをずけずけ言う人を嫌いますが、そのような新興国を相手にする時は通用しません。また、真っ向から反論をするには、核も辞さない強力な防衛力が不可欠です。日本は有史以来、唯一大戦で米軍に本土を攻撃されたことを除けば経験がないので、世界も同じように平和な民族だと思っています。しかしそうした国こそいつも攻められはしないかと脅威を感じています。日本民族が本気で怒った時の団結力が恐ろしいことはまだ忘れていませんから。
日本でも2001年(平成13年)、総理府を内閣機能強化の観点から、内閣府とし、内閣を助けて内閣の重要政策に関する企画立案及び総合調整での決定権を強化しました。
外交交渉の駆け引きのタイミングを逃さぬように、内閣・外務・防衛との速やかな連携が最重要です。
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