【たじま昔ばなし】 あいたっつあん

足の痛み治す神様  葦田神社 豊岡市中郷 (2004/08/26)

のどかな田園に囲まれた神社。拝殿の手すりには、靴や松葉づえ、ギプスなどがひもでくくりつけてある。足のけがが治った人が神様へのお礼に供えているのだという。

神様の名前は「あいたっつあん」。足痛の神様として信仰を集めてきた。
近くに住む森本幸二さん(73)は「今でこそお参りに来る人も減ったが、昔は但馬一円から集まったわらじやぞうりが柱などにいっぱいかけられていた」と言う。

その昔、天日槍(あめのひぼこ)が湖の底だった但馬を切り開いていたころの話。天日槍は、美しい田んぼが見渡せる所に屋敷を構えようと家来の神様に適当な場所を探させていた。  ところが、家来は中郷に見晴らしのいい土地を見つけたものの、自分が気に入ってしまって天日槍に隠していた。

それを知った天日槍が激怒。剣を抜いて家来に切りかかり、驚いて飛びのいた家来の足を傷つけ、そばにあった岩にまで傷をつけた。

しばらくして、天日槍は怒りすぎたことを反省し、見つけた土地を家来に与えた。家来は喜び、住人の足の痛みを癒やすことを誓ったという。

「あいたっつあん」と呼ばれるようになったのは切りつけられたとき、「あいた!」と言ったからだとされる。神社の辺りの小字名は「アイタチ」。近くにある狭間坂のわきには、刀傷のついた岩が残っている。

引用:神戸新聞「但馬の説話探訪」

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