若狭(福井県嶺南部)の秦氏系神社

[catlist categorypage=”yes”] 気比神社(越前国一宮)

当地には、実在された最初の天皇といわれている応神天皇(四世紀後半)ゆかりの神社がある。

気比(けひ)神宮といわれ、「新羅神社」と呼ばれてはいないが、 『記紀』に記載の最古の新羅系渡来人「天日槍」の伝承がある神社である。敦賀市曙町の「気比の松原」の近くにある延喜式の式内社である。

祭神は伊奢沙別命(いざさわけ)・仲哀天皇 ・神功皇后・日本武尊・応神天皇・玉姫尊・武内宿禰の七神。 境内には式内社「角鹿(つぬが)神社」がある。 『福井県神社誌』によれば、祭神は仲哀天皇・大山祇命・神功皇后・日本武尊・素佐之男尊の五神である。 境内社に神明宮・常宮社・稲荷神社・金比羅社等がある。 垂仁天皇(三世紀後半頃)三年に渡来した「新羅の王子・ 天日槍(あめのひぼこ)を 伊奢(いざ)さわけのみこと沙別命として祭った」といわれている。

『書紀』によれば、応神天皇は角鹿の笥飯大神と名前を交換し、 大神を去来沙別(いざさわけ)の神とし、 応神は誉田別(ほむだわけ)尊としたとあ る。すると、応神の元の名前は去来沙別であり、天日槍ということになる。 即ち、新羅・加羅系の人であったということになるのである。
気比神宮寺にある「都怒我阿羅斯等(つぬがあらしと)」の伝承は、 頭に角をもつ神が一族と共に角鹿湊へ渡来、角鹿神社の祭神となったという。 阿羅斯等とは、新羅・加羅では「貴」の敬称であったといわれ、 都怒我阿羅斯等も角鹿へ貴人が相次いだことを意味しているものであろう。 更に、額に角有(お)ひたる人は武人を形象化したものであるという説もある。

祭神である伊奢沙別命は、新羅の王子天日槍であり、 都怒我阿羅斯等でもあると共に、応神天皇もこの一族を神として崇めていたことが知られる。 気比神社の御田植祭や寅神祭は、農耕技術の伝来や海上安全の神を祭ったものである。

敦賀市の気比神社

敦賀市は日本列島のほぼ中央に位置するが、敦賀湾に面した静かな天然の良港として栄えた。 南は近江や畿内に接し、東は鉢伏山、栃の木峠、木の芽峠、大黒山などを境に今庄町に接している。 敦賀の名称は渡来人都怒我阿羅斯等(つぬがあらしと)の渡来伝承によるものである。

「上古敦賀の港は三韓(古代朝鮮)交通の要地にして、三韓・任那人等の多く此地に渡来し、 敦賀付近の地に移住土着したる者少なからず。其族祖神を新羅神社として祭祀せるもの多く、 信露貴神社亦共一に属す」(『今庄の歴史探訪』)

また、敦賀付近には新羅(シラギ)の宛字と思われる土地名や神社名が多く、 例えば敦賀市の白木、神社名では信露貴彦(しろきひこ)神社 ・白城(しらき)神社・白鬚神社などがある(『今庄の歴史探訪』)。

古来敦賀は北陸道や西近江路の入口に位置し、『延喜式』には「越前国……海路。漕二敦賀津一。……至二大津一……。」とある。 従って、越前地方は敦賀を介し近江地方と密接なつながりをもち、日本海の産物を琵琶湖経由で、 畿内の京都や奈良などの都に送っていたことがわかる。
出羽弘明氏(東京リース株式会社・常務取締役)

福井県美浜町菅浜に鎮座する「須可麻(すかま)神社」
敦賀半島の西側にも、新羅系の有名な神社がある。菅浜(すがはま)は、元々は須可麻神社の須可麻であったものが菅窯→菅浜と変わったようである。スカとは古代朝鮮語で「村」を意味するという。
丹後街道から敦賀半島に入り車で十分位。先へ進めば丹生や白木の集落である。敦賀半島の西海岸は若狭湾に面している。
当社は式内社で、祭神は正五位「菅竈由良度美(すがかまゆらどみ)」天之日槍七世の孫、即ち菅竈明神といわれる。
「新羅からの帰化人である由良度美は叔父の比多可と夫婦になって菅浜に住んだとの記録があり、其の子孫になるのが息長帯比売命(後の神功皇后)である。それ以前にも垂仁天皇の三年に新羅の皇子『天之日矛』が菅浜に上陸して矛や小刀、胆狭浅(いささ)の太刀などを日本へもってきた」(『美浜ひろいある記』)といわれている。
社伝によれば式内社の古社といわれ、『若狭国神階記』に「菅竈明神」とある。明治四十一年世永神社、素盞鳴命を祀る広嶺社・志波荒神を祀る塩竈社の三社を合併。金達寿『日本の中の朝鮮文化』には「若狭文化財散歩」の文章が引用されている。「・・・・・・菅浜の南の砂浜は神功皇后の子・応神天皇が太子のとき、こゝの浜でみそぎをされ敦賀へ移られたと伝えられ新羅人が漂流して土着したとも伝える。菅竈が菅浜に転じ、焼窯の神様で須恵器などを造った帰化人の集団が丘陵に住み着いたところでもあるという。・・・・・・」

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