【米国の新海洋戦略】2/5 新興国の急速な成長にどのように対処すべきか

単独防衛は不可能、同盟国との連携求める米国
米国の新海洋戦略と、日本が果たす役割

JBPRESS 2010.06.10(Thu) 金田 秀昭

次に具体的に中身を見てみよう。新海洋戦略の構成は、(1)新たな時代における海洋を巡る課題、(2)海洋戦略概念、(3)戦略の遂行(核心能力の『戦争外軍事作戦』への拡幅)および(4)戦略遂行上の優先事項の4つを柱としている。
新興国の急速な成長にどのように対処すべきか

(1)新たな時代における海洋を巡る課題

「新たな時代における海洋を巡る課題」としては、多くの国の急激な成長に伴う資源・資本の争い、海洋への期待の高まりに伴う主権・権益の争い、特に技術発展で活発化した海洋資源開発の争いの激化を挙げている。
そのうえで、台頭する無法国家・非国家集団による地域紛争、軍事技術・情報および大量破壊兵器・弾道ミサイルの拡散、法制・金融・サイバーシステムへの非伝統的攻撃、あるいは気候変動、自然災害による社会不安・地域危機など、多元的なグローバリゼーションに伴う紛争形態の多様化が今後の課題となるとしている。

(2)海洋戦略概念

「海洋戦略概念」としては、西太平洋・アラビア海・インド洋など世界の重要地域への信頼できる戦闘力の集中、大国間の戦争の抑止、米国の行う戦争での勝利獲得(統合・共同作戦)、多様な任務に適応する海洋兵力の全世界への分散配置(特にアフリカおよび西半球における平素の活動重視)、縦深性ある本土防衛への貢献、国際的なパートナーとの協力関係の促進・維持、地域問題の国際システムへの悪影響の予防・封殺(テロ・過激派、大量破壊兵器などの拡散、海賊・海上犯罪への対応)を挙げている。
特に、地域・国際パートナーの海洋兵力との『海洋安全保障』強化のための協調的枠組み作りの推進に向け、前海軍作戦部長(米海軍のトップ)のマレン大将が構想した『千隻海軍構想』を言い換えた形で『地球規模海洋協力構想』を提示している。

(3)戦略の遂行(核心能力の『戦争外軍事作戦』への拡幅)

「戦略の遂行」としては、軍事面では、前方展開、抑止、制海(宇宙・サイバー空間を含む海洋領域の全事象への対応力)、および兵力投入を重視している。
一方、非軍事面では、テロ、海賊、兵器拡散、麻薬密売、他の不法行為や人道支援・災害への適正な対処の必要性が高まったとして、国内および外国海洋兵力が総力を挙げて連携し、いわゆる『戦争外軍事作戦』と称される『海洋安全保障』の領域にも、戦略遂行上の核心能力を拡幅すべきであるとしている。
そのうえで、海軍は前方展開、海兵隊は遠征、沿岸警備隊は国土保全を主たる戦略の遂行領域として見立てている。

(4)戦略遂行上の優先事項

「戦略遂行上の優先事項」としては、第1に、海軍、海兵隊、沿岸警備隊などの国内の海洋兵力の一体性、および同盟・友好国海洋兵力との協調性と運用性の改善を上げている。
また、その前提として、世界中の海洋、海域、湾、河口、島嶼、海岸地域、沿岸、および宇宙空間などの海洋領域での『海洋状況認識』の向上や情報・監視・偵察能力の向上が欠かせないとしている。
さらに、これらを適切に処理するため、海洋兵力間の相互交流・理解、外国地域・文化の理解、遠隔指揮階層間の認識共有、下級者責任の増大といった要請に適切に応えるための、専門の要員の育成・啓発が欠かせないとしている。

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