【中国ナウ】6/7 中国における統治能力の強化と「党の柱石」の意義・・・党軍関係

Kojiyama/ 6月 17, 2010/ トピックス/ 0 comments

軍事、経済が急膨張する中国、その弱点は?

共産党政権の矛盾が表面化する危険性も
JBPRESS 2010.06.16(Wed) 茅原 郁生


中国のインターネット人口は今年5月、ついに4億人を突破した〔AFPBB News〕

 見てきたように、中国政治の負の側面への対処の必要から、共産党は一方で統治能力の強化を図っている。しかし共産党独裁を揺るがすような要因は増えている。
 例えば今日、中国ではインターネット人口は3.8億人に上っており、政府の情報統制は困難になっている。中国政権の電子情報部門の統制は強化されているが、政権に不利な情報の伝搬や社会不安の多発はもはや防ぎようがない趨勢にある。
 米グーグルの撤退が示すように中国政権の言論統制の実態は白日の下にさらされ、米国をはじめ国際的な批判につながっており、政権の情報操作には限界があることを示している。
 さらにグーグルの報道の自由を重視した撤退姿勢を中国の若者層は支持しているように、情報化時代を迎えて中国でも政権の情報独占体制の維持は困難になっている。
 これらを受けて中国の統治体制の維持は、共産党政権の統治能力の向上と政権を支える強権力の強化の両面から進められている。前者については江沢民時代に提起された「3つの代表論」が重要指針となり、共産党は労働者階級の前衛から広範な国民の利益を代表する党へと変身している。

資本家も共産党員になれる“不思議”


2009年、初めて公開された中国国産の原子力潜水艦〔AFPBB News〕

 その結果、本来、共産主義の敵であるはずの私営企業の経営者(資本家)も共産党に入党できるようになり、党員勢力も7600万人に拡大している。
 さらに量的拡大だけでなく党員の質も強化され、大学卒業者が95%を占めるまでに共産党は資質的に社会的強者を抱え込んで組織の強化と統治能力の強化を図っている。
 それでも権力体制側には問題が残っており、党権力と企業の癒着が進むという問題が生起している。例えば中国の長者番付上位800人の3分の1を共産党員が占めるという経済界と党の癒着現象が現れている。
 そこでもう1つの対処として強権力による社会の安定化が目指され、軍隊や武装警察部隊(武警)の「党の柱石」機能が重視され、その強化が進められている。
 中国憲法には「国防を強固にし、侵略に抵抗し、祖国を防衛し、人民の平和な労働を防衛し、国家の建設事業に参加し、人民に奉仕するに努める」と規定されているように、軍事力に多面的な役割を与え、国内安定を担わせている。

 しかし軍隊や武警による強権力で社会不満の抑制をいつまで有効に抑えることができるか、またそのためにどこまで軍や武警は強化されるべきか、など次の問題も生じてくる。その場合、軍事力の任務や運用上の軍事戦略はどうなるかも重要な課題となってくる。

 また中国には、経済発展に不可欠な国内外の安定した戦略環境の確保は解放軍の役割と見る特異な安全保障観があって、軍隊の存在は国家目標にも直結している。
 実際、21世紀においても外国からの侵略や干渉など脅威の存在を認め、自国を取り巻く安全保障環境を楽観していない中国は軍事力の強化を重視している。
 「新世紀の歴史的使命を断固遂行し、共産党執政の地位を固めるための重要な保証を与え、国家発展の重要な戦略的チャンスを守るために強固な安全保障を与え、国益を守るために強力な戦略的サポートを与え、世界平和を守り、共同発展を図るために重要な役割を果たす」と今日でも強調されている。

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