【中国ナウ】4/7  経済発展の陰とも言うべき負の側面と矛盾の深淵

軍事、経済が急膨張する中国、その弱点は?
共産党政権の矛盾が表面化する危険性も

JBPRESS 2010.06.16(Wed) 茅原 郁生

 他方で中国の経済発展には負の側面もあり、社会の諸矛盾による不満が鬱積するという暗い陰も背負っている。
 その第1に、周知のような国内の経済格差の拡大がある。中国では、1500万人の富豪が国内の70%の資産を保有する反面、1.5億人の貧困層を抱えるという極端な貧富の2極分化が進んでおり、弱者の不満は暴発の危険水域に迫るまで充満している。

急速な経済発展の陰では、深刻な公害問題も発生している。河南省鄭州の河川では付近の化学工場から流出した薬品で大量の魚が死亡した〔AFPBB News〕

 特に市場経済の発展で勝者総取りの状況が顕れる一方で、敗者はバブルで持ち家も不可能な状態に置かれている。特に富裕層の蓄財は、正当な競争というよりコネや権力の乱用に多くが関わっているところに問題がある。
 そのうえ、富裕層や高級幹部に課せられた財産申告制度は不徹底で、遺産税や不動産税の立法化も遅れるなどの金持ち優遇が続いている。
和諧(調和のとれた)社会建設が迫られ、貧富の格差是正を中軸に配分の公平や少数民族の宥和など、弱者への目配りがパフォーマンスされているが、機微な調整は共産党独裁政権では実行できず、限界がある。
 さらに経済格差には「国富民窮(国は富んでも、庶民が貧困である)」「国進民退(国有企業は発展し、民間企業は後退する)」のような重層的な社会的不均衡の拡大もあって、中国の抱える問題は深刻である。
 第2には政治改革の遅れで、民主化への移行が望めない現状にあって、不公平な富の配分や社会的不公正が期待できないと不満を募らせていることである。
 これらに対して、民主革命とまでは行かないとしても「権利の格差」の是正だけでも求める国民の望みがあるが、この是正も進んでいない。
 実際、他方で弱者である農民の団体である「農会」の結成が認められないなど農民の権利は放置され、都市労働者も労使交渉制度が整備されていないなど「権利の格差」は依然として残っている。
 このような社会的不公正や不公平の根元的な構造の解消は、政治改革なしには望めないことは衆知のことである。

 今春の全人代では「格差の縮小と不公平の是正」(民生問題)が最大課題と打ち出されて期待を抱かせたが、結果は所得格差の縮小策や構造的な問題の具体的な解決は先送りされており、失望されている。
 多党制の導入や民意を選挙で表明するなどの根本的な政治改革ができないまま引き続き経済だけが高度成長を続ければ、歪みが累積し社会の混乱が拡大する可能性さえ秘めている。
 第3に、党・官僚の汚職腐敗が一向に減らないことで拝金主義的な風潮と倫理感の欠如が社会にはびこり、社会不安定化の種になっている。
 実際、地方幹部の金銭腐敗への反発と抗議は年々増加傾向にあり、社会不安をもたらすだけでなく法治による国内秩序にまで不信の目が向けられている。

世界の資源を食い尽くす勢い

 さらに国際的な関わりへの影響を見ると、第4に中国には世界の5分の1もの巨大人口が存在しており、この膨大な国民がより良い生活を目指す欲望に目覚めている。それは資源や食糧などの浪費につながっており、世界の有限の資源を食い尽くす勢いにある。

将来の食糧危機に備えて、中国ではアフリカで農園を経営するケースが増えている。貧困に悩むアフリカからは批判の声も上がる〔AFPBB News〕

 現に石油エネルギーは1993年以降輸入国化したが、近年は2億トン近くを輸入しており、やがて2020年には2.5億トンと米国に迫る原油輸入量が予測され、資源争奪を巡る国際的な緊張の激化が懸念されている。

 食糧も中国国民の生活水準の向上でタンパク質の大量消費になれば、かつてR・ブラウン著『だれが中国を養うのか』が指摘したように世界の食糧市場を中国が食い尽くす事態が生起する可能性があり、中国は人口の巨大性に潜むリスクを抱えている。

 第5に、巨大化する中国が近年海洋進出を活発化するなど領域拡大の気配を見せ、アジア地域や世界に覇を唱えることへの懸念がある。特に中国海軍の強化に伴う海洋進出や宇宙空間の戦力化など新しい戦略空間への勢力の拡張は世界秩序の現状破壊につながり国際社会に不安をもたらし警戒感を高めさせている。

 第6に、中国が多極化世界を追求するに当たって独自の論理で国家統合を位置づけている限り、米国などの民主主義を信奉する国家群からは少数民族の人権、民主化などで、いわゆる武力によらないで体制変換を促す和平演変の攻勢を受けることになる。

 このような価値観の相違に基づく中国とのソフトな面での摩擦の増加は、地域の不安定化につながろう。現に、本年来の米国の台湾宛兵器売却とそれに反発する中国の米中軍事交流の中断など、異常なまでの反応は国際的な緊張にもつながってくる。

 最後に極端なシナリオであるが、中国内に累積する諸矛盾が暴発して国内の分列混乱をもたらす懸念もあることである。

 また好調と見られる経済もバブル崩壊の危機があり、経済破綻の危機も内在させており、グローバル経済に組み込まれた中国経済の崩壊は世界的にも深刻な打撃を与えてこよう。
 そこまで行かなくとも、国内で共産党執政の正当性に絡む国内不安が広がれば、国民の不満を対外面に転化し、政権の求心力を増すために強面外交で対外的に危機を作為することがこれまでにも反復されており、国際的な安定に悪影響を及ぼす事態もあろう。

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