【産経抄】1月29日
【産経抄】1月29日
産経IZA 2010/01/29 10:01
「生まれたての赤ちゃんの首のうしろに 小さなあざをみつけた ぶつけたわけでもないのにほんのり赤いあざ このまま大人になっても消えないかしら? ママは心配になってお医者さんにたずねた」。やなせたかしさんが責任編集している「詩とファンタジー」という雑誌で見つけた、女優の中井貴恵さんの作品だ。
▼「コウノトリのくちばし」の題が示すとおり、あざは、コウノトリがくわえた跡だった。24日の朝、搬送先の病院で死亡した小学1年の岡本海渡(かいと)君(7)の顔や背中、両腕にもあざがあった。もちろん、コウノトリがつくったあざであるはずがない。
▼傷害致死の疑いで送検された継父(31)と母親(22)は、東京都江戸川区の自宅アパートで、海渡君に殴るけるの暴行を加えたことを認めている。区や学校は、海渡君が虐待を受けていた事実をつかんでいながら、事件を防ぐことはできなかった。
▼同じ日大阪市淀川区では、42歳の男が、妻(42)と中学3年の長男(15)、小学6年の長女(12)の首を絞めて殺害する事件があった。男は株で失敗して借金を背負い、自分も死のうとしたが死にきれず、警察に自首したという。子煩悩な父親だったとの、知人の証言もある。
▼コウノトリの伝説は、ヨーロッパから伝えられた。日本では、赤ちゃんは天からの授かりものだった。そんな命に対する畏敬(いけい)の念が次第に薄れてきて、子供を自分の持ち物のように扱う親が、あまりにも多すぎる。
▼読売新聞によると、海渡君は亡くなる2日前、近所の住民の問いかけに、「パパはいじめないよ」と答えて、両親をかばっていたという。海渡君は親を選ぶことはできなかった。コウノトリに運ばれてきた場所で、精いっぱい生きようとしていたのに。
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