となりのこまったちゃん(2) 還暦迎えた中国

/ 9月 28, 2009/ トピックス/ 1 comments

 政権が60年も交代せず執政できたことは、長い中国の歴史から最長記録だそうだ。しかし、毛沢東が「政権は銃口から生まれる」と喝破したように、60年前、革命と戦争を指導した共産党が新中国を築いた。その指導部は最高権力者の意思で決められ、しばしば激しい権力闘争を伴った。建国からほぼ30年間は毛沢東が発動した大躍進や文化大革命などの政治運動に翻弄(ほんろう)され、経済の「足踏み」状態が続いた。経済建設が本格化したのは、トウ小平氏の主導で78年に改革・開放政策に転じてからだった。毛沢東からいまの胡錦濤まで、強硬な人民弾圧がくり返されてきたことは、中華時代の武力制圧による国の交代劇と大きな違いはない。
産経 2009.9.25

10月1日に建国60周年を迎える中国。9月18日の中国共産党の中央委員会総会(17期四中総会)は、創立88年になった共産党が一党独裁で60年間執政を維持し、今日の発展を築いたと誇りつつ、現状への強い危機感を表した。しかし、すでに胡錦濤総書記(国家主席)カラーが出た5年前の「党の執政能力を高め、党員の自覚を促して、国民の党不信の原因である腐敗や官僚主義などの克服を呼びかけ、改善努力もしてきた。が、経済の高成長の半面で、格差は拡大、官僚の腐敗も大型化の一方だ。

 いま中国社会は、不公平感に覆われ、ささいなきっかけで党批判が起こり、官民の衝突事件が頻発、胡氏の掲げる和諧社会は幻想になりつつある。その原因について元新華社記者の楊継縄氏は「権力市場経済」体制にあるとする。

 社会主義政治体制下での市場経済化は、中国経済を飛躍させたが、許認可権を一手にする権力者が、その一族や友人、企業家らに国有土地はじめ国の資源利用に便宜を図り、巨大な経済利益を上げる体制を指し、「権貴体制」とも呼ばれる。

 その体制下では、労働力の搾取も政策になった。例えば、中国産業の成長や外資導入を促した農民工は、農村戸籍のため出稼ぎ先での社会保障や子女教育にしばられて都市住民と差別されたまま低賃金労働を余儀なくされた。

 改革・開放の「総設計師」トウ小平氏は、経済建設を急ぎ、条件のある地方、人が先に豊かになる「先富論」を提唱、格差を是認した。引退後の1993年には格差の拡大を懸念したが、90年代後半から顕著になった富の極端な集中と特権階層の肥大までは想定外だったろう。

天安門事件

 今日の中国が直面している体制矛盾は、80年代後半に顕在化し、政治体制の改革が議論され、87年の第13回党大会では、党と行政、政府と企業の分離などの対応策が打ち出された。しかし89年の天安門事件後、政治改革は封印され、監視機関として事件前には検討された報道や司法の独立もタブーになったままだ。

一党独裁は正念場を迎えつつある

 共産党にとって危機的なのは、情報伝達手段の発達によって、国民が多くの事実を知り、党の宣伝が信用を失ったことにある。89年の民主化運動では共産党政権の合法性が問われたが、市場経済と国際化がもたらした個人の知識と権利意識の高まりによる。

 昨年秋、初の黒人大統領を生んだ米大統領選は中国国民に刺激を与えたが、この夏には日本の政権交代が追い打ちをかけた。政権は銃口ではなく民意がつくるシステムは、旧ソ連・東欧の社会主義国にも広がった。
 「いささかも動揺せず中国共産党の指導を堅持しなければならない」と悲壮感ただよう訴えをした。一党独裁は正念場を迎えつつある。(中国総局長 伊藤正)

 8月18日早朝、広西チワン族自治区南寧市の一角。鉄パイプなどを手にした数百人の男が、住民に襲いかかった。男たちは、補償額の増額を求め住宅からの立ち退きを拒否する住民を追い出すために、開発業者に雇われた。住民約10人が重軽傷を負った。

 こうした光景は1990年代後半に開発ブームが始まって以来、全国の至る所で見られる。昨年、土地、家屋の強制収用や労働争議など、経済的な要因による集団抗議と衝突事件は8万件を超え、93年の10倍になった。「実態はその数倍。今年上半期も増加傾向にある」(民主派学者)との説もある。経済的な要因以外でも住民が地元当局と衝突する事件が頻発しだした。

 当局への不満を解決するよう求める「直訴」(陳情)は昨年までの5年間で2千件に上る。しかし、解決されるのは、ほんの一部だ。地方から北京への陳情を繰り返す「上訪大衆」は後を絶たない。

 その背景には、経済発展の中で高まった国民の権利意識がある。環境を破壊している企業とその活動に対する抗議デモなど、以前にはなかった現象も起こっている。ウイグル、チベット族など少数民族による暴動と騒乱にも、経済政策や資源問題がからむ。

 著名な反体制作家でジャーナリストの余傑氏は、中国社会の行方について「貧富の格差拡大など社会矛盾はますます激化し、官民対立は先鋭化するだろう。経済成長が止まれば、大規模な社会動乱が起きる可能性もある」と話す。

 中国は97年のアジア通貨危機も今回の世界金融危機も影響を最小限にとどめ、むしろ発展へのテコにした。国家の強いコントロール機能が経済全般に発揮された結果だった。ただし、私有企業の発達が経済を活性化した一方で、基幹産業は依然、国有のままだ。

 土地の国有制は交通などのインフラ整備や都市再開発に生かされ、産業発展と外資導入を可能にした出稼ぎ農民の低賃金労働も、毛沢東時代につくられた都市と農村の二重戸籍制のおかげだ。

 石油や銀行など国有企業が政治の保護の下で基幹部門を独占、巨額の利益を上げていることについて、陸教授は「民衆の利益を置き去りにすれば矛盾や衝突を生む」と懸念を示した。成長が貧富の格差拡大などの矛盾を生む体制をどう変えるかは結論が出ていない。

 しかし成長が止まれば失業の増大など社会不安を激化させかねない。政府が8%成長の目標を掲げ、4兆元(約56兆円)の景気刺激策を打ち出したのも、1%成長で100万人前後の新規雇用が生まれるとの経験則から出た政治的目標だ。

 社会主義市場経済が中国に経済規模の拡大をもたらし、社会生活の西側化も進んだが、民主主義や人権といった普遍的価値観の普及には至っていない。上海社会科学院の楊宇立教授は「文化や思想面で日米より30年は遅れている中国社会の複雑さを理解すべきだ」として、現行体制で経済発展をさせることが最優先との考えを示した。

 中国の繁栄はいつまで続くかは、社会の安定にかかっているが、不安定要素は年々増えている事実も見逃してはならないだろう。(上海 河崎真澄)

民主化の流れはとめられない

 社会主義・共産主義が貧富の差を解消し、人々の生活を豊かにする理想として生まれたが、ベルリンの壁崩壊以後のソ連崩壊で、共産主義政権の中共と北朝鮮だけになった(キューバは少し違うと思う)。中共が市場経済を取り入れたことで、富と権力が一部に集中し、自由と人権などが与えられない農村部と市場経済が進んだ都市部の格差の増大を早め共産主義と自由経済という二つの体制矛盾をかえって深める結果に導いた。

 インターネットの普及は、中国国内の反体制運動を急速に進めている。チベット問題はかろうじて対外的には押さえたが、ウイグル暴動はトルコをはじめイスラムも、ロシアも戦々恐々と中国をにらみ始めている。いまごろスモッグ大国にCO2援助や、企業は工場移転して大丈夫なのか。

 あと十年、共産党一党政治体制が持ちこたえるかどうか、苦悩しているのは共産党自体であることは確かなようだ。また、中国の政治体制が大国として世界経済の流れに逆らえない現在、理想とする社会主義・共産主義が、実は中華思想という帝国的覇権主義以上に暴力的で世界に通用しないことを自ら悟ることだ。

 日本の国家意識のない衆愚政治的な民主主義が、好き勝手なことを言えるだけ、まだましかも知れないが、日本と中国の間では交易が始まった古来より、動乱がくり返されてきた中国・朝鮮半島とは異なり、政治は中華圏とは共有しなかった。経済的な友好は今後も進むだろうが、まず経済的な共同体は台湾・東南アジアなど親しい国から少しずつはじめればいい。

 「東アジア共同体」は、すでに戦前に、日本が欧米列強の植民地化から東アジアを独立解放に向かわせるきっかけとなった「大東亜共栄圏」で中国国民党が反旗を翻した結果失敗している。米国と共謀した中国の国民党とソ連の画策にはまった共産党の国共合作によって。中国政府が「日本の70年代の高度経済成長と90年代のバブル崩壊をモデル・教訓にしよう」と述べているように30年あとの同じ道を歩んでいるのだ。何千年の関わりからすればあと30年くらいは待てるだろう。

百年余りに亘って世の中を騒がせてきた共産主義運動が人類にもたらしたものは、戦争、 貧困、血生臭さと専制だけであったが、ソ連と東欧の共産党の崩壊により、この世界に害 を及ぼしたでたらめな芝居も前世紀末には終焉へと向かい、今では、庶民から党の総書記 に至るまで、共産主義のたわごとを信じる人は誰一人いなくなった。
民族の長期に亘る太平と安定のために、そして中国が一日も早く共産党支配から脱却し、 民族の栄光を取り戻すためにも、共産党はなぜ下劣な行為をするのかということ、ならび にその無頼の本質を明確に認識することがとりわけ重要となった。

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  1. 東アジア共同体

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