【衆議院選挙】(2) 高速道路無料化について

Kojiyama/ 8月 18, 2009/ オピニオン/ 1 comments

報道ステーションで猪瀬直樹氏と山崎養世氏の対談?がありました。互いの言い合いで何だかよく分かりませんでした。少なくとも大人同士なんだから人の話は聞こうよ、見苦しい。古館もしっかりジャッジしろ!といいたいほどの放置状態。テレ朝や朝日が最も得意の「結局何が言いたいんだ!?」の見本でした。(>_<)ヽ
 すでに産経【金曜討論】で二人の論戦が掲載されていたのでこちらを参考にします。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090814/plc0908140745004-n1.htm
 道路公団民営化は、期限付きであった道路公団を、永久的に営利をとる分割民営化団体にしてしまったことです。その批判もありますが、完全民営化に移行し、黒字化できれば、その時点でさらなる料金値下げや無料化も検討すればいいことですから、この批判は当たらないとも思います。

 たしかにSAの食事やサービスは良くなりました。西日本高速道路が補修技術からアメリカの老朽化した道路補修に名乗りを上げるなど発注を競っっています。これまでの公団ではあり得ないことです。

 民主党が衆院選の政権公約(マニフェスト)で打ち出した高速道路料金無料化は、すでに2003年から提唱しており、「高速を利用しやすくなる」「物流コストが下がる」といった好意的な声がある一方で、「渋滞が多くなり、排ガスが増える」「現在の高速道路会社の借金をどうするのか」など、効果を疑問視する意見も。

借金はどう処理すべきか

 要は借金返済方法ですね。山崎氏は国鉄民営化のように借金は精算事業団に全部処理させ、無料化するものです。しかし、結局国鉄精算事業団のかかえた借金は国債で完済することで終わってしまいました。同じ二の舞になりませんか。道路管理をまた民営化から、また国営化するだけではないでしょうか。

  猪瀬氏は、「政権交代しても、霞が関はそう簡単にコントロールできない。株式会社にして決算の世界に変えるか、地方分権にするかだ。そうしてコストを下げ、無駄を排除し、二重行政をなくしていく。談合やファミリー企業の増殖で借金を増やし、さらに3000億円の税金を入れてもらっていた旧道路公団は、定期的に料金を上げ、利用者にツケを回してきた。しかし民営化により、予算を使い切る世界から利益を出す決算の世界に変わった。納税もしている」

 山崎氏は、 「日本は高速を税金でなく借金で造ってきた。民営化しても借金は40兆円残っていて、これからも20兆円分地方に造る予定だ。もし金利が8%にあがれば、返済額は200兆円超。それを2050年までに返すなんて不可能。国鉄民営化は借金を全部処理した。道路公団民営化は処理していない。利用者はガソリン税や自動車重量税などを年間2兆円くらい払っているのに、それは一般道建設に流用され、そのうえ高速料金を取られている。高速は国民のもの。お金がある人しか使えないものはインフラではない。」

利用者負担か無料化の効果か

 山崎氏は、「無料化すれば物流コストが下がり、農林水産業、運輸業、観光など主に地方の産業がメリットを受け、税収も増える。安く造れる(3kmごとに)出入り口を増やし一般道と接続を良くすれば、地方も便利になり人口が増える。無駄な一般道を造る理由もなくなる。浮いたお金で高速がないところに造れば、地方格差はなくなる。都市より地方が得という流れを起こさないと、日本の経済は成長しない。」

 猪瀬氏は 「高速道路を利用する車は10台に1台。利用者1人のためにほかの9人まで税の負担を求められるのは、使った人が払う受益者負担の原則に反する。東日本、中日本、西日本の3社で年2兆円の料金収入がある。維持管理費4000億円、残り1・6兆円が借金返済に充てられ、あと41年で計40兆円を返すことになっている。この借金をどうするのか。国債に付け替えるのか。民主党がやろうとしているのはごまかしで、60年償還の赤字国債の発行だ。年間1・3兆円を一般会計に流し込ませる。そのうえ国営になれば、元の道路公団よりひどい」

 猪瀬氏は、経済効果について「それは疑問だ。政府が緊急経済対策として土日の通行料を1000円にしたら、ものすごい渋滞が発生している。高速は時間短縮のために料金を払っている部分がある。無料化にしたことで、365日渋滞をするようになったら、時間短縮効果はなくなる。物流コストが削減されて、宅配便の料金が少し安くなっても、翌日着かないということになる。環境面から見ても、政府は2020(平成32)年までに、二酸化炭素(CO2)を2005年比15%削減としているのに対し、東京都は2000年比25%削減を実施している。民主党の1990年比25%削減は空想的。こんな排ガスを増やす政策をやっていたらとても無理だ」

鉄道との協働強化

 --鉄道や航空会社など公共交通機関への影響も指摘される。

 山崎氏は、「やり方次第だ。航空会社にとっては無料化は長期的にプラスになる。今は羽田ばかり込むが、人口が分散したら地方路線の需要が増える。海外からの観光客も増える。問題は鉄道会社だが、鉄道と高速道路の協働をすべきだ。大都会は鉄道中心。地方では高速出入り口の不動産開発とかバス事業を鉄道会社に優先的に参加させる」といいます。

 さらに航空も地方路線の需要が増えるといいます。無料化すれば、鉄道はますます利用数が減ることは間違いなく、バス事業を鉄道会社に優先的に参加させるといいますが、鉄道の利用が益々減り、その分を鉄道会社がバスで補えるでしょうか。その分今度は、バス会社の民業を益々圧迫するだけです。地方のバス会社は、利用の少ない赤字路線を多く抱えています。都市間急行バスを鉄道会社に移管させてはそれらの収益をどこに求めればいいのでしょうか。フェリー同様にバス会社の経営を圧迫することになるだけです。

環境問題は

  「無料化しても車の総数は変わらない。この問いは、無料化の是非でなく自動車の弊害をどうするかということ。無料化で渋滞がひどくなる首都高や阪神高速は無料化せず、ほかの路線でも割引実験をして渋滞がひどくなるところは料金を継続すればいい。一般道は歩行者がいたり信号で止められたりするが、高速にはない。料金所をなくして出入り口を増やせば、渋滞が減って燃費が良くなり、排ガスは減る。将来的には電気自動車にして、交通事故が起きないよう衝突回避、自動運転技術を整備する。これからの国土交通政策はただ道路を造るのでなく、環境と安全対策に重点的に投資し、ガソリンも事故もない自動車社会を日本が世界で最初につくるべきだ」

 無料化しても車の総数は変わらないとは想像であり、休日ドライバーや危険運転の暴走族が増えることが懸念されます。渋滞がひどくなるところは料金を継続すればいいというのであれば、どこが現行と違うのでしょう。出入り口を増やせば、渋滞が減るというのは分かりません。3kmごとに侵入の危険度が増しますから、ブレーキ頻度が増えてスムーズな走行が行えるでしょうか。ガソリンも事故もない自動車社会は共鳴しますが、根本は鉄道など交通機関が発達した日本では自動車利用を促進することは得策とは言えません。自動車の弊害を根本から解消するには利用を減らすことです。それが基本ではないのでしょうか。

卵が先か鶏が先か

 都市部では鉄道機関が発達していますから、自動車利用の促進は必要ありませんが、地方行政でも地方でできることは地方でできるようにすることが主です。地方分権・地産地消というエコ概念がない論議だと思います。交通機関の発達で都市部に移動しやすくなり、全国の食材をトラック輸送で運んでいますが、反面で日本の地産地消文化を破壊してしまいました。各地の食材がどこにいても食べられることはいいことですが、物流コストがかかるので産地よりも高いのが自然で、そのために産地に行って食べることも観光や人の往来を促進します。

 また、個人個人でマイカーを利用すれば、移動する人が増え、観光促進効果は上がると思いますが、ヨーロッパでは市街地のマイカー利用は規制しています。さまざまな地域の生活面で環境問題が増します。

 その土地で獲れた食材はその土地でできるだけ早く食べることが最も上手くて合理的」です。そもそも欧米では地産地消であり、そのエコの考えが主流になっており、物流を減らすことが主でなければなりません。そのこと自体が無駄なことです。民主党の無料化は、欧米が無料であることへの憧れで半世紀古い概念で時代に逆行しています。
 私は山崎氏の説明は高速道路利用が先で、他の交通機関や地方分権という根本からの発想ではないという気がします。さらに、果たしてそうかと思うのは、高速が無料になれば地方が豊かになり人口が分散するかです。

建設コストがかかる日本の道路

 また、平坦地の多い欧米と異なり、山国の日本では高速道路の建設コストがはるかにかかること、ガソリン税で賄えればいいですが、道路も保全しないと傷んでいきます。建設費は国営化するとは国の税金です。これでは他の民主党の政策にも共通している欠陥で、収入という概念がありません。ロシアでも国営企業を民営化したというのに、崩壊した社会主義への後戻りではないでしょうか。自由民主党から自由が消えた「民主党」といわれる所以でしょうか。

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1 Comment

  1. 民主党の最終兵器 前原国交相の真相は?

    この人の前半の高速道路無料化には異議がある。
    昨年衆院選前に猪瀬氏との対談があったときに違うと思った。

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