【中国ナウ】2/7 中国が抱える国家の特殊性と情勢認識

軍事、経済が急膨張する中国、その弱点は?
共産党政権の矛盾が表面化する危険性も

JBPRESS 2010.06.16(Wed) 茅原 郁生

中国という国家は、広大な国土(960万平方キロメートル、我が国の26倍)、膨大な人口(13億人)、長大な歴史という3つの巨大性を抱えている。さらに国家の中身は社会主義を標榜し、経済は発展途上段階にとどまり、国民社会には人治などの伝統的体質が残る、などの多様な内実が複雑に絡んでいる。

世界の21%の人口を7%の耕地で扶養する

そして世界の人口の21%を世界の耕地の7%で扶養するという厳しい条件下で、巨大規模の国家を共産党によって中央集権的に統治するという無理な国家体制にある。
近年、共産党政権は独裁統治に対してその正統性が問われ、同時に経済格差の拡大などの矛盾が鬱積する中で執政(政策)の正当性も問われるという、二重の課題に直面している。
さらに生産部門では社会主義的公平さを捨て、市場経済を導入して自由競争による経済運営の果実として経済高度成長を得ながら、配分の不公正や不公平などによる貧富の格差など社会的な矛盾が拡大している。
国民の不満や不安が充満する中で中国の国家目標と戦略は、経済的な発展向上を目指す積極面と、社会不満などの沈静抑制などの消極的な両面を満たすことが求められてくる。
振り返って、中国が近代的な国民国家の体裁を整えたのは共産中国の成立以降であり、まず共産党政権の生い立ちや革命の経緯などを整理して中国という国家の特殊性について整理しておこう。
中国は近代史の幕開けにおいて、アヘン戦争における敗北から列強の蚕食によって半植民地状態にされた、屈辱の歴史体験を有している。
そこから中国は国家として強くまとまっていなければまたやられるとの認識を強く抱くようになり、力の信奉者的な安全保障観と国家観を持つことになる。中国の歴史を概観すれば、異民族支配も含めた歴代王朝が興亡を反復してきた。
1911年には辛亥革命で満州族の清王朝を倒して中華の復興を遂げた。しかし孫文の「三民主義」による国家統一が未完のまま国民党と共産党とが1927年からの長い国共内戦を続け、1949年に共産政権が軍事革命に勝利することで今日の中国は成立した。
これは「政権は銃口から生まれる」(毛沢東)と言われるように革命の勝利によるもので、今日の共産党独裁政権の正統性の根拠となっている。

多くの矛盾を露呈し始めた中央集権的な国家統治

また共産党革命の成功は、中国では単なる階級政党の政権奪取に加えて、(1)清朝を倒した中華復興の辛亥革命の完結という意義もあり、(2)共産党の農村革命では地主を倒して農民を解放するなど土地制度が絡む中国の封建制の打破でもあり、(3)外国植民地の一掃(香港、マカオはそれぞれ1997年、1999年までかかったが)など、多面にわたる中国の近代国家化でもあった。その分だけ、共産党統治の正統性はこれまで広範な国民に受け入れられてきた。
しかし巨大国家の中央集権的な統治には多くの矛盾が露呈し始め、共産党を政治権力の頂点に据える指令的な統治は国民の要求や不満を吸収し、調整する面で不備が続発しており、正統性への疑念が浮上している。
加えて毛沢東時代には、禁欲的な計画経済体制によって経済面の停滞を招いたものの、配分の公平性は維持されていた。しかし鄧小平時代になって、国民に経済発展の恩恵をもたらさなければ共産党執政の正当性は支持されないとして、改革開放政策が導入された。
その結果、改革開放政策による経済発展は成功し、それは市場経済にまで行き着いた。しかし結果として改革開放政策は経済格差を拡大させ、付随する汚職腐敗など他の諸問題を鬱積させ、共産党執政の正当性への疑問と不信につながってきた。
さらに経済分野では、改革開放政策により経済体制が自由競争を原理とする市場経済にまで発展する中で独裁政治体制は依然として堅持されることで、その間の軋轢が問題となってきた。
確かに改革開放政策は中国に経済発展をもたらし、その成果として本年で中国の国内総生産(GDP)は日本を抜く勢いにある。
しかし今日、市場経済化の負の成果として経済所得格差が拡大し、それも沿海開放地域と内陸農村部との地域格差から、内陸部においても都市部と農村との格差、上海などの大都市においても職業や業種による格差などのように重層的に経済格差が拡大し、地域的にも全土に拡散した。
ここで共産党統治は、新たに執政党の政策の正当性が問われるようになった。
このような国内不安が増える中で、国民の目を外にそらす常套手段として中国は、日本との歴史問題や台湾統合など対外的な緊張事態を起こさせ、また国際秩序に挑戦するような強面外交を展開してくる可能性があり国際的な緊張は増えていこう。

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