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お笑い番組の政治家たち

お笑い番組の政治家たち
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(以下転載します)
      須藤 文弘

「政治家の言葉が軽い」とは近頃よく言われている事である。恐らく、
我々日本人の言葉自体が軽くなっているのであろう。あるいは、軽い表
現しか遣わなくなったと言った方が適切かもしれない。
ことさら政治家の言葉が軽いという事は、政治家には、あるいは責任あ
る立場の人には「重い、内容のある言葉」を遣って欲しいという願望が
込められているということである。
久し振りに「民放」の政治家出演番組を幾つかみてみた。相変わらずの
顔ぶれで、「幼児化」しているのか「未成熟」なまま政治家になったの
か判然としない出演者に悪寒が走った。
NHKの政治討論番組は「民放」に比較すれば落ち着いて聴く事が出来
る。司会者が「民放」との格差を明確にする為に出演者に「行儀よく」
話をさせるべく細かな配慮をしている所為である。
出演者も、この番組ならば安心して話せるという確信があるのか、「民
放」に比べて比較的「大物」が出ている。
「民放」でも日曜日早朝の番組には、「じゃじゃ馬馴らし」さながらと
でも言うか、野牛の群を鞭で矯正しながらなんとか時間内に一応の容を
つけるべく、懸命の努力をしながら大汗をかいている司会者の居る番組
がある。学級崩壊教室の教師のようである。
問題なのは、「芸能人」が司会する「政治家出演番組」である。これら
に共通しているのは、各党、特に自民党と民主党の議員を角突き合わせ
て、政治家の「喜劇的、悲劇的」場面作り出すことにある。パンとサー
カスの広場の「生贄」である。
国民に「政治家の浅ましい姿」を見せることによって政治家の権威を失
墜させ、国民が政治への期待を抱かないように仕向けているとしか考え
られない。
「笑いをとる」ことを生業とする「お笑い芸人」等に「いいようにあし
らわれている政治家」の言動を視聴させることによって、本来権威があ
ってしかるべき存在を「水に堕ちた犬」のごとく凌辱し侮辱して見せる
ことで「ショー」を構成し、国民の溜飲を下げさせるのが主眼になって
いる。
出演する政治家もその辺のところをよく理解しているのか、番組が要求
するとおりに実に忠実に演戯をしている。「お笑い芸人」も顔負けとい
った趣がある。ストリートのチンピラよろしく、肩をいからせ目を吊り
上げて相手を罵倒するだけ、言説を吐き捨てるだけのバトルを展開して
見せる。
本人の思考を「内言語」とするならば、党の方針に従って吐き捨てる言
葉は「外言語」といえる。政策によっては党の方針とは微妙な違いがあ
っても当然である。
しかるに、番組が求めている役割を演じようとするあまり、機関銃のよ
うに言葉を発しているものだから自分の言説の論理矛盾にも気が付いて
いない。
何故、国会議員が「芸能人の嬲り」に唯々諾々と従っているのか理解が
出来ない。
 ・顔が売れて選挙に有利なのか。
 ・国会で重用されていないことへの憂さ晴らしなのか。
 ・出演料が魅力なのか。
 ・ただただ「目立ちたがり屋」にしかすぎないのか。
各党はこのような「政治家を娯楽の対象とする番組」への出演要請を拒
否すべきであろう。個々の政治家との交渉が主体ならば出演を禁止すべ
きである。
どうしても、このような番組にも協力しなければならないならば(?)、
出演者の選出に慎重な配慮がいるし、番組に一定の要求をすべきであろ
う。
特に目につくのは自民党の議員で、東大法卒農水官僚上がりのK氏につ
いては、自民党の評価を著しく低下させ、党の品格を貶めこときわめて
著しい。
このような代議士を選んだ選挙区の「民意」には何ら言及するつもりは
ないが、党のためには一考を要すると言わざるを得ない。議員全体の品
格の保全のためにも必要である。
民主党始め他党も「他山の石」としてはならない。
なぜならこのような「民放」の影響は軽視できないからである。議員を
身近に感ずるという事と、議員が「軽い、権威のない者」であるという
ことが同じであってはならない。
マッカーサーが米国議会で「日本人は12歳くらいだ」と報告したことは
よく知られている。TV出現後、大宅壮一氏は「一億総白痴化」と形容
したが、あれから数十年、我々日本人は果たして成熟したのであろうか、
あるいは「白痴」の方が進行したのであろうか。
現在のような選挙制度では国民のレベル以上の政治家の選出は難しいと
言われるが、もしかしたら、「お笑いショー」に出演して嬉々として役
割を演じている国会議員は、演戯ではなく「地のまま」なのかもしれな
い。
「かくして誰もいなくなった永田町」が、諧謔を弄しているのではなく
事実なのかもしれない。「総理」といって恥ずかしくない国会議員を想
定できない最大の不幸に見舞われている「おかしくなった日本」なので
はあるまいか。
国会のねじれはそれなりの効果はあるが、「党のねじれ」はなんとか解
消してもらいたいものだ。無駄にエネルギーを消耗するだけである。

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