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中国に世界をリードされてはたまらない 3/4 “道徳的な中国人”と、“残酷で野蛮な日本人”という図式

“道徳的な中国人”と、“残酷で野蛮な日本人”という図式

 日本人にとって、戦争でアメリカンに敗れたことは“日本の恥”であり、せんごはそのあめりかを克服することに新本陣は全力を尽くした。

 しかし中国人にとって、戦争で日本に敗れた事は中国の恥ではない。“日本の恥”なのである。彼らがすべき事は努力して日本を克服する事ではなく、口を極めて野蛮な日本人を罵ることでしかない。こうして中国政府は、彼ら自身の意識において「道徳的に高見にある中国人」と「血に飢えた野蛮な日本人」という関係を構築した。

 ひとたびその関係が出来上がった以上、中国人にとっては何年何十年経ったっとしてもその関係は変わらない。(中略)

 実際の話、日本における外国人の犯罪はこの19年間において圧倒的に中国人によるものが一位を占めているが、警察に逮捕された犯罪者たちの多くは、取り調べの席で口を揃えて「日本が戦争でやった事に比べれば、俺のやった事など犯罪のうちにも入らない」とうそぶく。

 中国政府や中国人の侮日的な態度は、ともすれば日本人には「共産主義のイデオロギーとそれに伴う反日教育に原因がある」と受け止められがちだが、実際にはコミュニズムにはあまり関係がない。それがsg往古に中国と同じ儒教国家である韓国も国是としては反共であるはずなのに日本に対しては中国とまるで瓜二つの行動を取るではないか。
 日本で逮捕される韓国人のスリ犯や窃盗犯の多くも、取調室で刑事に対して「日帝37年の植民地支配の非道さに比べれば、俺のやった事なんて…」と、中国人と全く同様の供述をするという。

アジアに君臨し続けた旧体制の中国

 近代以前において中国人は、その圧倒的な経済力と高い文明を持って周囲の国を睥睨(へいげい)していた。
 彼らに匹敵するほどの文明を持ったインドは、間にヒマラヤ山脈をはさんでいたためにほとんど交流がなかったし、あとは時々、北方の遊牧民族に軍事的に侵略されたぐらいで、例えばベトナムや朝鮮、日本やタイといったアジアの国々に対しては経済的にも、文化や科学技術などの面でも、圧倒的に優位を誇っていたのである。

 このことは結果的に、中国人に華夷秩序というやや歪んだ価値観を植え付けた。つまり中華社会の中心にいる中国皇帝が世界中で思考の存在であり、その周辺に行くに従ってヒエラルキー(階層制や階級制のこと)は低下していって、中華文明に浴していない異民族に至っては東夷(とうい-日本・朝鮮などの東方諸国)、西戎(せいじゅう-西城と呼ばれた諸国)、北狄(ほくてき-匈奴・鮮卑・契丹・蒙古などの北方諸国)、南蛮(なんばん-東南アジア諸国や南方から渡航してきた西洋人など)と呼んで蔑んでいたのである。

 これは即ち「外国人などは、人間ではない」と言っているようなもので、当然ながら今日の国際社会で通用するものではない。
 しかしながら中国人たちのこの価値観も近代以前、つまり清国末期までは圧倒的な国力を背景に(少なくともアジア圏内においては)それなりに妥当なものであったのだ。現実に当時、中国の覇権に抗し得る国は日本を含めて、アジアには一つも存在しなかったのだから(インドは当時、既にイギリスの支配下に組み込まれていた)。

 しかし……、その間に産業革命を成功させ近代化の道を邁進していたヨーロッパ列強によって、中国王朝の優位は既に覆されていた。そのことを誰の目にも明らかにしたのが、アヘン戦争におけるイギリスの圧倒的な勝利だろう。当時の日本の下級武士たちは、強大なはずの清王朝がイギリス(大英帝国)によって鎧袖一触(がいしゅういっしょく-弱い敵にほんの少しの武勇を示す意。)にされたことで危機感を覚え、いやパニック状態にさえ陥って徳川幕府を倒して大急ぎで近代日本を建国するに至った。

 そうしてできあがった日本政府が行った“近代化”とは具体的には何だったのか…。日本にとって明治維新以降の“近代化”とは、実を言えばすべて「中国的な価値観の否定」の他ならなかったのである。

「中国に世界をリードされてはたまらない」
儒教に発する傲慢なふるまいは修正不能 曙機関 (『正論』8月号)

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