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世界の中のニッポン

 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成22年(2010)6月7日(月曜日)
通巻2984号 (増大号)
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英誌『エコノミスト』は LEADERLESS JAPAN(指導者不在の日本)
日章旗から赤丸が転がり落ちた空洞の象徴デザインは国旗侮辱ではないか
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外務省がすばやく抗議したという報道がない。
これはひどい国旗侮辱のデザインである。ほかの普通の国なら暴動に発展する可能性もあるが、「上品」な我が国では、国旗侮辱に対しての神経がないようだ。

http://www.eis-world.com/
(表紙は↑で確認できます)

英誌エコノミスト(2010年6月5日号)の編集意図はよくわかる。
げんじつに指導者がいない日本の政治は漂流している。ビジョンを世界に提示できず流れるままに身を任せ、独自性がないくにを揶揄している。

しかし国旗をこれほど侮辱されても関係部署が抗議の声もあげないほどに我が国は矜恃を喪失してしまったのか。

自民党は小泉政権で総理大臣の在任期間が歴代6位の長命だった。幻想を抱く有権者は麻生元首相の支持率低下によって、ようやく自民党からの政権交代を果たした。

やかましい左翼に比べて保守は元来おとなしい。何故かと言えば日本の歴史伝統にそって民主主義を守るのが保守であり、あえてそれを叫ぶまでもないからだ。

しかし、長期において政権与党を担える保守政党が自民党しかなかったために、党内は保守からリベラルまで思想が異なる層が派閥を形成していった。それが党のカラーを弱めて、与党であることを最優先にしてきたことで、自由党と民主党の保守合同の理念だった自主憲法制定という大目標を後回しになり、しだいに党内のカラーが低下していき、公明党や他党と連立を組まなければ過半数を維持できなくなった。

それに不満な人たちが離党して新党を立ち上げていった。現在の民主党は二大政党制をめざして自民党以上に右から左が寄り合わせた数合わせに過ぎない政党だ。民主党は自民党の亜流でしかないばかりか、自民党以上に自民党の最も利権政治をおこなってきた旧田中派から左翼の旧社会党、市民団体までの訳が分からない党だ。

いっとき小泉純一郎政権で総理がメディアを通じて国民に直接アピールする分かりやすい政治手法によって、挽回した。しかしその政策はアメリカからの自由経済をすすめる規制緩和の要求による、郵政民営化に疑問を抱く人々の離党を生み、現在の野党に下野した自民党は、保守派はごく少数で求心力を失ってしまっている。

土屋たかゆき議員曰く、パーティー(党)という代物ではなくて、党の方針である綱領もない珍しい党で、テレビ受けのいい議員を多用して広報活動を繰り返してきた芸能プロダクションのようなものだという。彼らは国家観や理念があるかというと受けのいいきれい事をいって与党批判を繰り返してきた。

与党経験がない民主党が試行錯誤を繰り返しているのは認める点がある。選挙から政権交代まで経験豊富な小沢一郎によるものが大きいのは自他共に認めるところだろう。

したがって、自民党でも不明瞭な方針以上に、鳩山から菅に替わり、鳩山はしつけができていない幼児にかき回された幼稚園内閣、菅直人は金銭感覚ができた少しましな小学校内閣が誕生した程度のものだ。

誰が総理大臣になっても国を背負うトップの人間が国家観がなく市民社会を志向する総理大臣の下では、日本国のトップリーダーとしての指導力を示せるかが疑問である。市民活動家として社会問題に取り組んできたことが、国を背負う立場で日本国という国家間の外交や安全保障問題に立つときに、どれだけ日本の事を知っているかが問われる。

総理になって8か月、ようやく日米同盟における抑止力に意味と沖縄の位置の意味がわかったような総理と、これから琉球処分について本を読みかけている新総理。これまでいったい何を勉強してきたのか。

地球がボーダーレス社会になったから国境や国民性が必要なくなるのではなくて、むしろ希薄になれば存在価値が薄れる国は、競争社会に生き残れないのだ。だから教育は大切である。日本の歴史、文化のことを正しく教えなければならない。江戸時代に武家の子息から町民まで寺子屋において読み書きそろばん道徳などを教え、当時の識字率は世界でもトップだった。貧しく慎ましやかに暮らしていても他国のように大きな貧富に差はなく、当時江戸にやってきた西洋人たちはゴミ一つなく町がきれいで、人々が礼節を持って暮らしていることに感銘を覚えたと記している。アジアの貧しい国だと思ってやって来てみると、それは他のアジアの国々では感じられないレベルの高さだったのである。

自国に誇りを持てない戦後教育では、その時点で自国がどういう国かを語れず、外国の青少年にその時点で負けている。誰であろうと自国の歴史や文化をよく知らない人間は尊敬されない。自国の歌や踊りも知らないことはコミュニケーションが出来ないばかりか恥なのだ。

そのことに気づいている人は、日本のアイデンティティ、オリジナリティこそ再認識することが重要である。もう自民とでも民主党でもどうでもいい。日本が大切なのであって、歴史を紐解き、未来へつなげる道は右でも左でもイデオロギー政党などどうでもいいし時間のムダだ。政治に西洋思想を持ち込むまえに、日本民族の背景なある心の拠りどころ、多神教の神社信仰が基礎にある。政治とはマツリゴト(政りごと)であり、神を祀り(奉り)、民をまつったのが起こりである。

西洋がイエスキリストならば、日本は八百万の神を奉る懐ろの深い?世界最古とされる天皇を仰ぐ歴史こそ、世界が真似できない誇りであることをもっと自覚すべきで、「和を持ってと尊きと為す。」「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無しや、云々」(太陽が昇るところの天皇から、書簡を日が沈むところの皇帝にお渡しします。今後ともよろしく。それが何か?)随の王はこれに激怒したと書かれている。それが本当のNHK的に言えばJAPANデビューであろう。日本外交のはじまりだとされる。中国は中国、日本は独立した日本だ。その気構えを忘れずにありたい。


【快刀乱麻】菅直人、市民活動家の国家観を問う[桜H22/6/7]

関連性がありそうなので西部邁ゼミナール を添付します。


西部邁ゼミナール 2010年5月29日放送 tokyomx

 

 

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kojiyama

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