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「不毛地帯」 国を思い国益を考える人たち

ドラマ「不毛地帯」は最近では数少ない秀悦な作品。最近では、TBSの「JIN~仁」も丁寧なつくりで見ごたえのあるドラマだった。20%を超え、あのくだらない某大河ドラマを抜くほどの民放最高視聴率が人気を反映していた。体たらくなTBSにして民放ドラマの意地を見せた傑作だった。
「不毛地帯」は、2009年10月よりフジテレビ系列で開局50周年記念ドラマ。なので、昨年10月にスタートしたが、異例の年越し半年間のロング作品だ。同じフジテレビで、6年前の2003年に放送された『白い巨塔』(フジテレビ開局45周年記念ドラマ)と同じく山崎豊子原作で主演は唐沢寿明、放送枠も同じ木曜劇場の枠。山崎豊子の他の作品では、2007年の木村拓哉主演TBS開局55周年記念番組「華麗なる一族」ぶり。この3作品はいずれも二度目のドラマ化である。日本航空の腐敗した経営をテーマとした映画『沈まぬ太陽』も話題だ。
「官僚たちの夏」同様、作品自体が昭和の戦後日本を舞台に組織で戦う男たちがテーマであり、男性好みで重厚なのか視聴率は高くはないが、毎週次回が待ち遠しいドラマは久しぶりである。豪華キャストで製作費用がものすごくかかっているだろうが、山崎豊子の原作自体のストーリーがしっかりしているので相乗効果が生まれる。
いよいよ来週で最終回になると知って終わってしまうことが惜しい。
敗戦から命がけでなんとか立ち上がろうとする日本。政治家、官僚、総合商社、新聞記者…。それぞれの利権が絡み合い戦略・賄賂が飛び買う。しかし、アメリカやソ連の巨大な恐ろしさやずるさを身をもって体験した戦争体験者たちの事実をもとにした物語は、力強くて観るものをぐいぐい引き込む。
ドラマ批評が主ではないし、NHKはどうでもいいが、受信料で運営しているからこそ放っておけない公共放送なので、司馬遼太郎が生前は原作をドラマ化すること頑なに拒否していたとされる「坂の上の雲」をやるからにはどんなドラマになるか期待していた。しかし、100億円以上もかけて恣意的に原作にはない脚本に仕上げるとはあきれるばかりだ。中国人に対する日本軍の乱ぜきなどを仕込むなど、もし司馬遼が生きていたら激怒しただろう。JAPANデビューの方針自体がおかしいことは周知のことだし、大金を使って視聴者に不快感を植え付けて何をしたいのかわからない。金をかけても脚本が共鳴しない映画がヒットしないのと同様で、トヨタもNHKも、政治もすべて日本の企業共通の組織が金属疲労に陥っている。「坂の上の雲」と「龍馬伝」に香川照之が起用されていることに違和感がある。もともと上手い俳優だと思ってはいたが、あまりにも汚らしい岩崎弥太郎に創業者である三菱からクレームがあったらしい。実際に歯はそこまでやるかと思えるほどに黒く風呂に入っているのかと臭いそうなくらいに汚い。
香川照之が南京大虐殺を題材にした、中国・ドイツ・フランス合作の映画『ジョン・ラーベ』に日本将校役で登場しており、「この映画を見て、本当に日本人は残忍なことを多くしたのだということを知りました」などと発言して、物議を醸した。利用されていることも知らず出るのも何だし神経を疑うから嫌いである。ここにきて大型ドラマに多用する意図には中国とNHKのつながりが臭うからだ。坂の上も雲でも原作にはない正岡子規役で中国人をかばっているシーンをなぜ入れたのか。不自然で作為的だ。
金曜日にゴールデンで天下の日本の公共放送が総合テレビで韓国ドラマをやっている暇があるのかと電話しようかと思っていたら、3月で終わるようだ。NHKはおかしくなっている。
「龍馬伝」は「天地人」を上回るべき1回ずつの展開が遅く単調でつまらない。来年は女性が主人公でやるらしい。数回に一度は女性が主役の大河にしないといけないのだろうか。念のため女性だからというのではなく、安直な愛をテーマに描くなら大河ではなくてもいいと思うし、安物のいのちいのちと言うばかりで実態のない友愛を叫ぶどこかの目つきの悪い夢遊病総理だけで充分だし、気持ち悪い嫌悪を抱くからだ。いまから観る気がしない。龍馬の値打ちが下がる。「JIN~仁」の龍馬役・内野聖陽氏でJIN~仁を大河にしてもっと長く観たかった。女性が主人公のネタがないならヒミコや神功皇后、推古天皇など古代にすごい女性がいた。まだあまりやっていないと思うのだけど。4月にやる古代史ドラマスペシャル「大仏開眼」 は面白そうだ。浅野温子は好きな女優。また全国の神社やお寺で古事記の語りを続けているのは、ポリシ-を感じる。NHK大阪だけはまともだと思う。
だから民放が、この不況下にNHKほどの潤沢な予算ではないにもかかわらず、気合いを入れているドラマは応援したい。民放の意地を見せる砦だから。
ただ一点だけ不満をいうと、主人公の壱岐正がシベリアに立つ動かないエンディングと トム・ウェイツ/「トム・トラバーツ・ブルース」が単調で長すぎるのでしんどいからチャンネルを予告まで替えてしまう。次回で終わるからもう遅いか。
トヨタもNHKも、視聴者、消費者を向いていたのか。素晴らしい!ありがとうと喜んでもらえた時こそが、大切なやりがいなのではないか。予算があって使い切るような仕事ならば公務員の発想だ。ことなかれ、前例のないことはしない組織は番組も製品もどんどん方向がおかしくなっていく。伝統にあぐらをかいて現状維持を続けていると必ずいつかは衰退の道に至ることは一個人ならいいが、他に替わるべきものがない以上、われわれ国民・個人にとっても被害は甚大であり国益にならない。無責任な素人政治家やその政権を作った左翼反日テレビマスコミは退場させなければ日本の為にならない。
壱岐正が「これからの日本にとって、石油で苦しんだからこそ、二度と戦争にならないために石油が必要なんだ」。総理は(賄賂は別として)、国益を考えて、国を思うからこそ、人びとはついていくのだ。
参議院選が大きな転換期としなければならない。歴史認識も国家観もない素人政治家は税金をどぶに捨てているようなものだ。マスメディア、企業経営者も。
 
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  • 終戦時関東軍参謀瀬島龍三中佐をモデルにした壱岐正。2・26事件の際、岡田啓介首相の身代わりとなって犠牲になった松尾傳蔵海軍大佐の長女清子と事件前年の昭和10年6月結婚(松尾傳蔵夫人は岡田首相の妹)。シベリア抑留11年間、この間、昭和21年10月18日、東京裁判に証人出廷し、ドラマでは妻とは会わずに帰したとあるが史実は2時間程面会したそうな。昭和31年8月引き揚げ、翌年伊藤忠商事に入社など史実に沿ってはいるが、ドラマ化には必須の男女関係描写にはいささかうんざりですね。まあ、あと一回とのことですので我慢しますが。「幾山河」と併せ読むと興味深い。

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