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「国土学」から考える日本人の進むべき道


【大石久和】「国土学」から考える日本人の進むべき道[桜H21/12/10]

水島氏が国土からの歴史観は目から鱗だと語っていますが、明治維新は欧米列強の開国がきっかけという概念だけではなく、江戸後期の度重なる天変地異が要因だったということにあります。
日本列島は食糧資源に恵まれた美しい国土だから人々が渡り住み着いたのだが、同時に台風洪水地震火事などの天変地異が多くリスクがつきものだったことが、自然風土を味方にして智慧や工夫する民族を育てたのかも知れない。

日本でも都市国家や万里の長城ほど立派な石造りの城壁はないにせよ、まったく城柵がつくられていたのではない。弥生人とよばれる新しい渡来人があらわれ、計画的稲作文化が広まった頃には、いさかいが起きたりするようになって環濠集落という集落の回りを濠や柵をめぐらせて共同生活を指揮し、祭りを取り仕切る指導者があらわれ、争いのときにも大きな役割を果たした。やがていくつかのムラが集まって小さなクニ(邦)が生まれた。大きいものの一つに佐賀県の吉野ヶ里遺跡がある。

戦国時代が終わり、江戸期に入って日本は過去経験したことのない長く平穏な世が続いた。しかし、政治は軍事から貨幣経済と人口増加によるルールづくりに移っていったのは世界の都市国家と同じであろう。大陸が天変地異が少なく最も警戒したのが外敵による侵略であって、それに対し島国で争いよりも地震や台風などの天変地異が人々を不安に陥れたことは日本人が危機意識を持って常に備え、質素倹約に励み絶えず新しく工夫してつくり替える勤勉な性質を育てたのではないかという考え方はなるほどである。日本列島は平野が少ない。一寒村だった江戸を当時世界最大の城塞都市に改造したのも治水だった。利根川や隅田川・神田川は濠でもあり上下水道だった。さかのぼって豊臣秀吉が大和川や淀川の流れを替えて洪水被害から大阪平野を築いたのも治水事業は国造りの歴史だ。

天日槍が沼地だった豊岡平野を円山川を抜いて切り開いたとされる(そんなわけないだろう・・・)。出雲の国引き神話も国作りであるし、ヤマタノオロチも斐伊川など8つの川の氾濫を改良したものだと伝えたものだとも言われている。

中国や朝鮮半島などが他民族に対して警戒心が強いのもわかる。したがって性悪説となる。明治期にアジアの独立国は日本とシャム(タイ)の君主制の2か国しかなかった。国家ができたら稲作が発達し文化が栄えて、最大の恐ろしい敵は外部からの侵略よりも天変地異だった。島国は外敵からの侵略を海によって守られてきた。だから日本の神々人物ではなく八百万の自然神からはじまっている。自然は祟るから神社を建てて祀ったのである。日本も台湾やフィリピンもハワイも島国民族は共通して人がいい。性善説であるといえよう。海を渡ってきたルーツも似ている。

外国から学ぶことは当然だが、日本人はそのまま取り入れず改良して適したものにした。電力にしても日本はアメリカに次ぐ世界屈指の水力発電国だったことを忘れて風力だ、太陽光だと欧米のグリーンエネルギーを真似をする。しかし、太陽光や風力にしても一日中安定して得られるものではない。たしかに日本の水力は小さいが、流れの速い河川は全国隅々にある。日本で最初に工業化した産業は神戸灘の酒造りだ。六甲山系の急流を利用して水車精米を考案した。宮水という花崗岩質の硬水は腐敗しにくく飛躍的に仕込み技術が近代化した。そして樽回船により江戸への輸送に便利だったから灘の酒は発達した。
日本最初の京都の琵琶湖疎水や水力発電会社、市電を興した京都府知事北垣国道、関西電力初代社長で黒四ダムを築いた大田垣四郎も但馬人である。化石燃料に頼らず豊富な水を利用する水力発電ダムが悪ばかりとするのは灯台もと暗しだとずっと思っている。水防や水資源にも一石何鳥だ。いけないのは公共事業そのものではなく、それらを利権誘導する小沢一郎・二階俊博 のような献金商売政治家なのだ。

 
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kojiyama

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