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衆参両院の選挙制度

麻生太郎首相は18日、自民党大会での演説で、ねじれ国会でも迅速な意思決定ができるよう衆院の優越を認める議会制度改革が必要との認識を示した。また衆参両院の選挙制度が類似しているとして見直しに向けた議論を始めるよう求めた。

自民党では首相の発言について、「ねじれの弊害の打開策として、衆院選の公約に掲げるつもりだ」と見る向きがある。小泉元首相らが唱える、国会議員の定数削減などが念頭にあるという見方も出ている。

議会制度の発祥地であるイギリスをはじめ、欧米の多くの国では上院に相当する議院 (貴族院、元老院など)を「第二院」、下院に相当する議院 (庶民院、代議院など) を「第一院」としている。

しかし、イギリスでも今日ではもとからの世襲の貴族である議員は92人に削減され、現在の貴族院議員のほとんどは“一代貴族”(有識者や功労者を貴族院議員にするために一代限りの貴族として認定した者)である。このため特権階級の代表としての意義はほとんどない。日本の帝国議会にも貴族院には学識経験者などからなる勅撰議員がいた。対等の権限を有する。
また、大日本帝国憲法下では法律事項とされる事項であっても、法律に反しない限りは帝国議会の関与を要せず勅令をもって独立命令を制定できた。

「両院制」の意義は「多角度的な民意の反映」というのが本来の趣旨である。これは双方違った方法で選出されて構成される議院が存在することによって、様々な角度からの意見が反映されていくことでより深い議論が出来るというものである。また「議会の多数派による専制の阻止」「どちらかの議院が存在する安定した議会政治」といった効果も生み出す。

両院制の意義とは

異なった方法で選出され、構成される議会があることで、さまざまな角度の意見を反映し、議論を深めようというのが本来の趣旨。また、1つの議会の多数派による専制、暴走を阻止できるというメリットもある。

下院に相当する議院は基本的には、社会の多勢を占める中産階級の利害を代表している。政治が異なる利害の調節を行なう作業である以上、中産階級で代表されるものとは別の視点からの利害を何らかの形で反映するメカニズムが存在しなければならない。それは少数民族であったり、各地方の利害であったりする。社会が複数の民族から構成される場合や、異なる言語集団から構成される場合は特に重要となる。したがって、上院に相当する議院の選出メカニズムは下院に相当する議院とは異なっていなければならない。

現代では、両院の力が対等なことは少なく、下院の優越を認めている場合が多い。予算や条約の承認などでは、どちらかの院にだけ決定権を与えている国もある。日本の場合、下院(第1院)を「衆議院」、上院(第2院)を「参議院」を呼んでいるが、衆院の優越を認める議会制とはいえない。

二院制とは、完全に独立した2つの議会が存在しているもの。例:ドイツ、フランスなど
「1つの議会」が、独立した2つの議院によって構成されている両院制。「bicameral」という言葉の翻訳から「対になっている2つ」という意味合いをもつ。例:日本、英国、米国など

日本の場合

日本で参議院の不要論が出る背景には、まず第一に参議院の政党化による「衆議院のカーボンコピー」化が挙げられる。
参議院の「衆議院化」によって、元来参議院に期待されていた「良識の府」としての機能が、十分に果たされなくなったということである。

だから参議院が不要なのではなく、参議院改革によって本来のチェック機能を取り戻せるという考え方もある。
政党の意を受けずに当選した議員によって参議院を構成することが、衆議院に対するカウンターパートとしての参議院の価値に繋がるとの意見は根強い。

一院制の利点

  1. 両院の意見が対立し、時機に応じた法律の整備が遅れるということがない。
  2. 両院の意見が一致する場合の議論の重複を省くことができ、速やかに立法が行われる。
  3. 人件費や選挙実施費用といった経費を削減できる。

欠点

  1. 議会内での両院相互の均衡と抑制(チェック・アンド・バランス)が働かない結果、議会が暴走する可能性がある。特に、1つの党が長期に渡り単独過半数を維持し続ける場合に危険性が大きい。
  2. 一通りの審議で法律が成立してしまうので、その時の雰囲気に流されて立法がなされる恐れがある。
  3. 投票の機会が半減するため、議会に対する民意が反映されにくくなる。
  4. 一つしかない議会が解散されて総選挙が行われる前に、議会決議が必要な事態に対応できない恐れがある。
  5. 地域代表の議院がないため、地方の意見が国に届きにくくなる。

このほか伝統的な不要論で、「第二院は第一院と同じ意思決定をするのなら無駄である。また、異なる意思決定をするなら有害である」との主張もある。

  • 日本はアメリカやロシアなどのような連邦国家ではない。上記のような良識の府としての役割を期待しない場合でも、アメリカなどのような連邦国家では、連邦を構成している州・国の利害の調整の場として、単なる人口比率に関わらず各州・国が代表を送り出せる場としての上院(日本でいう参議院)が必要になる。
  • 北欧を中心として、国連加盟国の過半数は一院制を採用している。
  • 参議院の存在は時間と金の無駄ではないかという、コストの問題。

連邦制をとらない単一国家においては、両院制にすべき必要性は小さい。
しかし、ほとんどが人口1000万以下もしくは1000万強であるのに対し、アジアや旧共産圏では、中華人民共和国をはじめとして人口に関係なく一院制を採用する傾向がある。ただし、その中華人民共和国でも大国としての両院制へのあこがれは強く、最近は全国両会での決定というようなマスコミ報道が多くなってきている。

なお、参議院不要論は衆議院議員および衆議院多数党である自民党から主張されることが多い。そのことから、参議院不要論は単に「審議・採決の手間と時間を減らし、政府与党の議案を通しやすくしたいだけではないか」との批判も強い。

いま、参議院予算委員会を見ています。参議院は必要なのか?前々から国民が感じている素朴な疑問です。代表質問は自民党なのにそんな質問・発言が一人の議員からも出ないようです。

 

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