英国を真似て日本がない菅直人首相3/3 経済戦略と消費税はセットでなければうまくいかない

Kojiyama/ 6月 19, 2010/ オピニオン/ 0 comments

【社説】日本の「第三の道」

WSJ 2010年 6月 17日 17:46 JST

 菅直人首相は11日の所信表明で、約20年にわたる閉塞状況を打ち破る経済政策を、そう新しくもない「第三の道」という言葉で呼んだ。残念ながら、これは日本が本当に必要としている新たな道ではない。
 菅首相の提案は、実際には鳩山由紀夫前首相の経済政策要綱の焼き直しにすぎない。所属する党が同じなのだから無理もないが。古い自民党は巨額の公共事業に成長を頼ったが(「第一の道」)、民主党は子ども手当のような補助金の方が好きだ。

 菅首相で革新的なことといえば、債務が国内総生産(GDP)の200%に近づいており、政府が少し歳出規模を減らす必要があるかもしれないと認めたことぐらいだ。しかし、これがなければ、首相の提案はどこかで見たような内容である。鳩山前首相から引き継いだ「グリーン・イノベーション」は特にそうだ。これには、途方もないコストがかかる地球温暖化対策基本法案が含まれる。

 ただ、少なくとも、菅首相と民主党が「第一の道」はうまくいかなかったと認めたことは評価したい。日本は世界最長のケインズ主義の実験のおかげで、デフレを脱却できず成長が低迷している。鳩山前首相が登場する前に、自民党の首相たちは同じ死に馬にむち打って景気てこ入れを図ったが、予想通り結果は芳しくなかった。

 より大きな問題は、菅首相が「第二の道」(世界2位の経済大国に市場原理主義を導入すべく市場開放を進めようとした小泉純一郎元首相が推進したような構造改革を指す)を危険なまでに否定していることだ。首相は11日、こうした改革が「行き過ぎた市場原理主義に基づき、供給サイドに偏った」ものだったと批判した。 

 実際、こうした改革は日本を活気づけるために必要だった、そして今も必要なものだ。小泉元首相の改革者魂により、就任当初はマイナスだったGDP成長率は退任の時には年率3%に上昇していた。失業率は7年ぶりの低水準である4%近辺に低下した。日本経済がデフレから抜けられないのは、日銀の金融緩和が不十分なためではなく(日銀は今週、最大3兆円の新貸出制度を決定した)、企業が既に抱えている現金を投資するインセンティブがほとんどないためだ。一段と機動的な動きができるよう規制を緩和し、閉ざされた多くの市場を開放してこうした企業に競争を強いれば、雇用創出を伴う成長につながるはずだ。
 菅首相は、この調整が短期的に労働者に痛みをもたらすかもしれないと訴えている。その通りだ。しかし、その先に一段と力強く持続可能性の高い成長があるなら喜んで耐えようとする有権者の姿勢を過小評価している。小泉元首相はそうし課題の1つである郵政民営化への賛否を問うため、解散総選挙に踏み切り、圧倒的な支持を得た。対照的に菅首相は、郵政民営化を見直したがっている。

 日本の政策担当者すべてが改革に反対しているわけではない。直嶋正行経済産業相は、競争力向上のため法人税率を5%引き下げるよう訴えている。新たに設立された「みんなの党」は、確固たる自由化派で、代表はかつて自民党改革派に属していた渡辺喜美議員だ。

 菅首相は前首相より有能だとみられており、支持率は65%と好調だ。前首相の政策と統一のとれた経済政策をまとめることは、イデオロギーで結束した党ではなく派閥や個人崇拝が支配することの多いシステムでは至難の業だ。主要政党がこれを克服しようとし始めたという点で、日本の政治再編における前向きの一歩だ。
 今度は他党が、民主党より優れた案を思いつくという重荷を背負うことになる。菅首相の計画の欠陥は多くの政治的機会を提供している。


◎塚本三郎 菅総理は国家観を示せ 

六月二日、鳩山総理と、小沢幹事長が辞意を表明した。「万事休した」結果と、新聞は論評し、僅か八カ月間の在任で、その無能ぶりを露呈した。民主党首脳の両名に対しては、発足当初から、「政治とカネ」にまつわる不信感を拭い去ることが出来なかった。

「政権交代」と云う期待を背負い、その上、衆議院選挙の圧勝が、皮肉にも民主党議員の冷静さを消し、驕りが禍し、庶民の心を軽視したとみる。
 自民党が、長期政権の惰性で、国会運営の慎重さを失い、昨年八月の衆院選で、国民からの失望を買い、大敗した。自民党の悪い処を省みることなく、そのまま見習い、国会運営と審議の軽視を重ねたのが、後継政権を担当した鳩山民主党であった。

 「多数横暴」、「審議軽視」と叫び続けた、かつての野党民主党が、攻守所を変え、そのまま、自民党及び野党各党から非難され続け、僅か八ケ月で「万事休す」となった。
 民主党は、鳩山、小沢の二人による独断的政局運営についても、圧倒的多数の国会議員は、何等批判の声を出さず単なる将棋の駒にしか見えなかった。
 極端な例は、日米同盟に基づく普天間基地の代替基地問題で、自民党政権を殊更に卑しめるべく、前政権の決めた、「辺野古」を鳩山氏は否定し、「国外か県外」を叫び続けた。
 自民党政権が決めたことだが、これは日本国政府と米国政府との「国家間の公約」である。その重大性を悟らなかったことは、総理の無知と無責任である。
しかし問わなければならないのは、圧倒的多数の国会議員が、誰一人として、鳩山総理の発言に異を唱えなかったことである。彼等は国会議員であるのに、国家安全の基本である防衛力、及び抑止力に無関心をよそおい、「己れ在って国家なし」の態度であった。

 そして、国民の不審と怒りが燃え盛り、民主党不支持の火の手が、やがて改選議員個々人の、選挙の勝敗に及ぶと知って、初めて、指導部の非を叫ぶのでは、余りにも卑しい。
民主党国会議員は、功利的で、国政に対して、責任感なしと非難されても仕方がない。
 鳩山総理は辞任の挨拶で「国民が徐々に聞く耳を持たなくなってきてしまった」と民主党衆参議員総会で語った。自らが語り、約束したことを、あっさりと反故にし、その上、言行不一致を重ねる人間に、誰が耳を貸すのか。
鳩山総理の、普天間問題の発想は、最初から最後まで、言っていること自体は間違ってはいない。出来るならば、「国外、少なくとも県外」も正論であった。従って地元住民は、総理大臣の甘言に飛び付いた。総理が直言したから、実現出来ると住民は信じた。

一国の総理大臣が正論を吐くことに対しては誰も反対しない。
だが、総理も、国民も、日米間について根本的誤解がある。即ち、日本は、自国の防衛の基本を軽視し、米国の軍事力に頼り、安全保障を補ってもらっていることである。
日本が、米国と対等の外交をするためには、日本自身が防衛力の整備と共に、米国と対等の「集団的自衛権」の必要を宣言し、その態勢をとることが不可欠である。それを抜いたのでは、軍事同盟としては、世界に通用しないことを知らないのか。

☆失格者は二人だけか

 六月四日、民主党は代表に菅直人氏を選び、菅氏は第九十四代の日本国総理大臣に任命された。菅新総理は、早速政治とカネについて、クリーンを強調した。
 今回の民主党への不信は、それだけが原因ではない。小・鳩政権の土台は、出来もしないマニフェストを、大々的に訴えたことへの不信であると共に。在留外国人の地方参政権や、夫婦別姓等の、日本社会を根底から崩壊させる危険を進めて来たことである。
 菅氏は、その間、副総理であり、財務大臣として、異をとなえなかった共犯者である。

従って!)新政権は、今後、民主党の理念と政策の誤りを根本的に改め、党としての、明確な「国家観」を示さなければ、国民は承知するはずはない。
総理大臣には、結果責任がある。自論が、実施可能か、否かは、正常な判断と実行力が不可欠だ。まして鳩山前総理は、米軍と、地元住民と、連立相手の政党の、三者の納得を要すると、自ら信じ、発言していたはずだ。その中身に対する責任は、そっくりそのまま、菅新総理の双肩に懸かっている。そのことを新総理は自覚されているのか。
その渦中に突進し、双手を挙げたが、一体、次の難局をどう乗り切るつもりなのか。

 出発当初の支持率八〇%が、僅か八カ月で二〇%を切った民主党前政権の急落。その原因が、小沢・鳩山両首脳の個人的問題が主と受け止め、両氏を辞任に追い込んだ。
 結果として、菅直人氏の総理就任によって、相当の支持率回復と報道されている。
 首脳人事の交代によって、党政権の支持が回復しつつあるのは、前首脳が余程の不適格者であったからであろう。それを否定するつもりはない。

☆表紙よりも中身が大切

だが、「表紙だけ変えても、その本の中身が変わるものではない」。この話は、かつての自民党総務会長、伊東正義氏が、竹下登総理の辞任に伴う、後任の職を蹴った時の、政権「タライ回し」を論評した時の声で、当時マスコミが報道したことを思い出す。

 菅新総理は、小沢・鳩山の下で副総理を勤めて来た仲間である。

 新しく出発した菅民主党政権は、理念も、政策も、そのままにし、内閣の人事も三分の二の大臣は留任と発表された。冷たく論評すれば、表紙が改まった分だけ、支持率はご祝儀として回復するであろうが、中身こそ、国家にとって決定的な重みをもつものである。

 中身の非常識なマニフェスト、更に、マニフェストには表わさず隠しておいた、非国家的な政策(在留外国人地方参政権・夫婦別姓等々)を、作製した中心人物が小沢氏であるならば、潔くそれを取り消し、「党としての国家像」を堂々と示すべきである。

 菅新総理が、非小沢色を人事面で示すべく、苦心の配慮が浮上している。しかし、人事こそわが政権の要だと言っても、矢張り、党の骨格である「理念が根底」に在る。
交代した菅民主党は、今こそ、政権党として、その党の進むべき綱領を、堂々と議論し、設定すべきで、政権党が、「政党の綱領」さえ示していないことは、余りにも奇異であった。
民主党そのものが悪いのではないと、菅総理は言いたげである。小沢と鳩山の失敗こそ不支持の原因であり、これからは違うぞ、それが新政権、菅直人の人事構想に表現されているとみる。それもあろう。だが民主党の基本が示されなければ、指導方針はゆれる。

菅民主党は、幸い眼前に参議院選挙が控えているから、日、時をおかずに新政権の、国民向け宣伝のみを訴え、国民に期待を持たせて、選挙に逃げ込みたいようだ。その姿は亀井国民新党に約束した、郵政に関する法案さえ成立をあきらめさせてしまった。

亀井大臣の辞任は、菅総理の薄情な性格そのものが露出している。
新政権は、まず辞任した前首脳二人の「カネと政治」を正し、前述のマニフェストをはじめ、各種の問題点を、まず国民の前で訴え、予算委員会で、日本政治の在るべき姿を示し、各党が、堂々と議論を重ねた上で、選挙を行なうのが新総理の常道ではないのか。

小沢・鳩山の両名を、党の役職から退かせただけでは、何等問題は解決していない。それらの点をすべて、「ホオカブリ」したままとは、余りにも卑怯な政権となる。
参議院選挙で国民は、何を基に判断してよいかに迷うのである。

☆小沢一郎氏の心底は、口惜しさがにじみ出て思いやられる。表面には出ていないが、その片鱗が、マスコミ等にのぞかれる。
だが、客観的に論ずるならば、小沢氏は、自身が悪者にされ、鳩山辞任の道連れにされ、晒し者にされることによって、小沢氏自身が結局助かった、と私はみているが皮肉か。
「万事良かれ」と小沢なりに、労苦を重ねた参議院選挙の準備が、惨敗を目前にして、辞任を余儀なくされた。而も「邪魔者の除去」の対象とされた。
本人にとっては、余りにも不本意であったであろう。

天命は、何れの方向に下るか――凡夫の計る術はない。小沢本人が幹事長として死力を尽くすよりも、身を退いて「党の障害人物」なりと謹慎することによって、小沢氏には再出場の機会が与えられよう。多くの部下を生み、育てた、自然の贈り物であり、国会議員としての小沢一郎の実行力である。
 新政権の任期は、民主党規約として本年九月までである。その時点で小沢氏が、健全であるならば、彼の性格からして黙っては居ない。与党内に一波乱在ると見なければならない。政局はそれから大波乱が待っている。

菅新総理には、全く苦手の防衛問題、即ち、普天間問題が待ち受けている。
 折角、落ち着いていた、「辺野古」への移転を、鳩山氏自身が反対し、寝た子を叩き起こし、その結果は、そのまま元の地に戻すと弁解し、「沖縄県知事と地元市長」を窮地に追い込んでしまい、鳩山、小沢両氏の辞任という史上類例をみない劇となった。

☆中国の脅威 日本近海で、国の主権と安全にかかわる重大な事態が相次いでいる。

 本年四月、中国海軍は。ミサイル駆逐艦など十隻を沖ノ鳥島近海まで進出させ、二度にわたり、艦船ヘリを海上自衛隊の護衛艦に異常接近させた。
東シナ海は、中国海軍の進出に脅かされている。これ等の危険な威嚇行為や、権益侵害に対し、民主党政権は、十分な対応をしてこなかった。これからも、この国益軽視の民主党が、「友愛外交」を、新政権も続けるつもりなのか。
民主党にとっては、外交と防衛は一番の苦手である。しかし、国家にとって一番大切で最重要課題である。対中国との安全と、領土保全問題を、菅総理は承知しているのか。
 菅総理は、かつて非武装中立を主張して来た政治家であった。
防衛力は、その時代と、周辺の状勢に対応すべきだから過去を問わない。しかし、前述の如く、眼前に迫った国家の権益侵害や、威嚇行為に対して十分な対応を怠れば、重大な危機を招くことになる。国家と国民の生命と財産を護る総理大臣の使命を自覚すべきだ。
謹告 五月上旬にお送りした小論で「田中角栄に聞け」(PHP出版)を宣伝しました。
民主等政権が、旧自民党田中派に属する人達が中心で、田中角栄は日本憲政史上、稀有の政治家としての業績を認められながらも、日本政界の「汚職の首魁」として葬り去られた。本書はその弟子たちが指導する民主党が、田中角栄の長所即ち、国益を学ばず、短所、汚点のみ学んでいると指摘しました。幸い、この書が市中の書店に、広く出回っておりますので、お読み下されば、日本政治の裏と表を理解して頂くに役立つと信じます。

(元民社党委員長)

◎井上政典 【本当に日本の将来を考えると】

 朝鮮日報によると、国連児童の権利に関する委員会(委員長:李亮喜<イ・ヤンヒ>)から日本の歴史教科書はアジア・太平洋地域の過去の歴史に関するバランスのある視点が見られないとして、日本政府に対し是正を勧告しました。それと、華僑の学校や朝鮮総連の学校に対する支援が十分でなく、大学入学などの面での差別を撤廃することを勧告したそうです。
 つまり、朝鮮学校も高校無償化の対象にしろといっているのです。
 菅政権はこれに対しどんな対策を採るのか見ものです。
 高校無償化の対象から外れた朝鮮学校の巻き返しです。日本が一番弱い国連カードを使ってきました。国連至上主義の小沢氏がいたらもちろん是に「待ってました」とばかりに応えるでしょうが、菅総理はどう対応するのでしょう。
 もし、毅然とした態度で「国連といえども日本の教科書の内容や政策に口を出すのは内政干渉であり、断固として受け入れがたいと宣言したら、ちょっと見直すのですが、私の直感では絶対にしないと思います。
 
 菅首相はいつの間にか消費税10%への増税を示唆しました。
 今の財政では誰でもがやっていけないとわかっているはずです。
 まず止めることはばら撒き政策です。
 子供手当てや高校無償化、さらに農家への戸別所得保障など無駄なものが一杯あります。蓮舫大臣は、まずは民主党政権の政策を仕分けして欲しいものです。
 公務員の20%削減はどうなった?この8ヶ月一回もそのことは聞こえてきませんでした。無駄を無くすというのは、政策をより現実的にすることですか?
 「出ずるを制して入るを図る」財政の基本です。二宮尊徳や山田方谷の伝記を読んで財政政策を基本から修行しなければならないですよ。
 
 その点から見ても、高校無償化や子供手当てなど不必要なバラ巻を止めて、口蹄疫対策や景気刺激対策など本当に必要なものにしっかりと予算を使って欲しいと思うのは私だけではないでしょう。でも、考えれば考えれるほど、民主党の社会主義的な政権には期待できません。なぜなら支持母体が労働組合だからです。自分さえよければいい、自分が豊かになれば会社や国がどうなってもいいとい「市民」の集まりだからです。
 だから、本当に日本の国民は祖国の将来を考えると、民主党に参院選を勝利させたらいけません。どんなに連立を考えようとも不可能な議席しか与えてはなりません。
 一時の熱に惑わされてはなりません。実相を見てください。
 そのために、国連児童の権利に関する委員会への対応が良い試金石になると思います。
(歴史ナビゲーター)

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