【中国ナウ】1/7 軍事、経済が急膨張する中国、その弱点は?

日本と中国。隣り合いながら国体の異なる二つの国は、この半世紀の間にどのように変遷を遂げてきたのだろうか。脅威論と嫌悪感をいだくだけではなく、日本にとってその生産拠点としても、また13億人という人口に対する市場経済として無視できない。

軍事、経済が急膨張する中国、その弱点は?
共産党政権の矛盾が表面化する危険性も

JBPRESS 2010.06.16(Wed) 茅原 郁生

中国は経済の高度成長により急台頭しており、2008年から始まった世界的な金融危機にあってもいち早くV字型回復を遂げ注目されている。現に2009年のGDP成長率は8.9%に上り、改革開放政策30年の成果を見せつけた。

世界で台頭する中国脅威論

 中国は世界の工場と言われる時代を経て、今日、世界経済の牽引車役を担い、米中G2時代ともてはやされている。
 そこで、台頭する中国はやがて世界に覇を唱えるのではないか、と中国脅威論が浮上している。しかし同時に、中国には共産党統治が安定的に続くのか、政権の正統性や執政の正当性についても問われ始めている。

 今日の中国は、社会主義の旗印を捨て切れない政治体制と、自由競争を原理とする市場経済が同居するという特殊性を抱えている。
 さらに中国は経済成果の多くを国際交易に依存しており、その分だけ国際的な協調が求められてくるが、同時に大国としての威信にもこだわって軍事力の強化を急いでおり、それが国際社会から警戒されるというジレンマの中にある。

 特に、故・毛沢東国家主席が口癖にしていた「政権は銃口から生まれる」が浸透している中国では、軍事力を重視しており、「党の柱石」として今日でも共産党統治を支えている。

強大な軍事力を中国はどのように使うのか

 これらから軍事力の強化を急ぐ中国は、今後世界に対してどのように振る舞ってくるのか、国内体制の安定と軍事力の強化動向が絡んだ対外戦略の展開が注目される。本稿では中国がどのような国家目標を掲げ、軍事力強化の基盤となる富国強兵戦略をどう展開しているか、を問題意識としてまとめたい。
 その際、今日、共産党統治の正統性と執政の共産政権の正当性が問われる中で、軍事力建設や対外戦略の基盤となる経済政策と国内政治の安定問題に焦点を当て、中国が抱える基本的な問題を中心にまとめたい。

 そこで本稿の構成は、まず中国という国家の成り立ちの特性などの基礎的な背景を整理し、次いで経済成長著しい中国の現状を光と陰の両面から探る。そして中国が掲げる国家目標の実態を整理し、現に進めている国家戦略の実態について国内問題を中心に検討する。

1.中国が抱える国家の特殊性と情勢認識
 世界の21%の人口を7%の耕地で扶養する
 多くの矛盾を露呈し始めた中央集権的な国家統治

2.現代中国が抱える明暗
 (1)経済発展でもてはやされる中国
 2015年には早くもGDPで米国に迫る
 (2)経済発展の陰とも言うべき負の側面と矛盾の深淵
 世界の資源を食い尽くす勢い

3.中国が掲げる国家目標と戦略
 大国と途上国の立場を巧みに使い分ける中国
 天安門事件が再発する危険性も十分にある

4.中国における統治能力の強化と「党の柱石」の意義・・・党軍関係
 資本家も共産党員になれる“不思議”

おわりに
 ゆとりと調和ある社会を目指すが限界も見えてきた

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茅原 郁生 Ikuo Kayahara
拓殖大学名誉教授
1938年生まれ、防衛大学校卒。陸上自衛隊で陸幕戦略情報幕僚、連隊長、師団幕僚長等を経て冷戦後に防衛研究所で文官転官(元将補)、研究部長など。1999年に拓殖大学教授就任、昨春退職し名誉教授に。
著書に『中国軍事論』(芦書房)など、編著に『中国の軍事力ー2020年の予測』(蒼蒼社)など多数、防衛省オピニオンリーダー、日本戦略研究フォーラム政策委員、日本防衛学会理事など。

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