【米国の新海洋戦略】4/5 日米同盟としての海洋戦略を確立すべき

単独防衛は不可能、同盟国との連携求める米国
米国の新海洋戦略と、日本が果たす役割

JBPRESS 2010.06.10(Thu) 金田 秀昭

では日本としては、いかに米国の新海洋戦略の意味合いをとらえ、いかに対応すればよいのか。結論から言えば、日本としては、日米同盟の本質が「海洋同盟」であるからには、これを日本に投げかけられた同盟上の提案として積極的に受け止めるべきだろう。

日米同盟としての海洋戦略を確立すべき

そして具体的には、日米間での戦略整合を図り、日米同盟としての海洋戦略を確立すべきであろう。
実質的なアウトプットとしては、第1に、日米海軍(海自)間のハード的側面(戦争領域)としての「日米同盟海上防衛戦略」を策定し、第2に、ソフト的側面(非戦争領域)としての日米基軸の『地球規模海洋協力構想』の実現に向けたロードマップを作成し、緊密に連携しつつ推進していくことである。
それらを考えるために、日米同盟関係の軍事的特徴をおさらいしてみよう。まず、日米の軍事関係は日米同盟を支える基盤となってきた。冷戦時代における日本の危機存亡の状況を打開し支えてきたものは、強固な日米軍事同盟関係であった。

特に1970年代後半から80年代を通じて、折からの日米経済摩擦(戦争)という状況下にあっても、ソ連海空兵力の急速な能力向上に対応して、自衛隊の装備・運用能力の近代化など対ソ囲い込みを目指した日米同盟の軍事的強化の努力が、結果的に冷戦の勝利に大きく貢献したことは衆目の一致するところである。

日米同盟の真の礎石となった「海の連携」

中でも海軍(海自)間の共同能力の向上(装備・運用)は、日米同盟の真の礎石となってきた。
冷戦終了後は、冷戦時代には想定しなかった態様で軍事的衝突が生起するたびに、米国や国際社会は、国際社会の安定化のための日本の軍事的協力を期待し、歓迎した。
湾岸戦争での掃海部隊の活躍を嚆矢とする自衛隊による国際協力は、国内的には、自衛隊の海外派遣に対する不安を解消させると同時に、軍事的国際協力の価値を認識させた。

その一方、米国や国際社会には、多くの制約を国内的に課せられ通常の軍隊とは異なった形ではあるものの日本の軍事力の底力を認識させ、ますます国際社会の安定化に貢献し得るとの期待感を与えるようになった。

しかし、依然として自衛隊の任務や権限には他国と比し大幅な制約があり、米国を含む国際社会は「普通の国化」と言う形で、その改善を期待している。
近年米国は、多元的グローバライゼーションのもたらす不透明、不安定な国際安全保障環境に対応するためにも、軍事面では軍事トランスフォーメーションの中で日本重視を再確認してきた。

同時多発的に起こる紛争、米軍は日本により期待度高める

しかし、内政面を中心として求心力の回復がままならない米国のバラク・オバマ政権と、緊密で対等な日米関係を謳いながら普天間問題をはじめとして同盟関係を危うくした鳩山由紀夫政権の関係においては、双方の公約の実行は停滞し、同盟意識も一時的にせよ希薄化した。新しく首相に就任した菅直人氏に期待したいところである。
民主主義国家の弱点は、避けられない政治指導者の変化の時期における不安定かつ不透明な政情の生起であり、日米関係においても同様であると言える。
従来これを不変的かつ安定的に支えてきたのは、前述した日米同盟の軍事面での強固なつながりと、日米における日米同盟支持層の活動であった。鳩山政権の不始末をこの両側面で支え、地道な努力を重ねながら信頼を回復していかなければならない。
あらゆる側面で台頭する中国の軍事力、軍事大国復帰を目指すロシア、核兵器保有国となったと目される北朝鮮、急速に海軍力や対地攻撃能力を増強する韓国、親中反日路線を露わにし始めた台湾現政権・・・。
このようにますます不安定かつ不透明な北東アジアの安全保障関係にあって、非核兵器国たる日本が抑止態勢を万全にするための揺るぎない体制を取るためには、日米同盟関係は維持、強化されなければならない。

日本に求められる自律的な「攻勢防御能力」

多元的な脅威や危険要因に対して非核兵器国の立場を崩さない日本が取るべき究極の抑止態勢としては、米国との核・通常兵器の組み合わせによる緊密な複合抑止態勢が適当である。
そして、防衛~攻撃に至るシームレスな抑止構造確立のため、今後は米国との緊密な連携を基盤としつつ、日本自身が核兵器を保有しない代わりに通常兵器による自律的な拒否(攻勢防御)能力を保有することが不可欠となる。
従来以上に、ハード的側面(戦争領域)での日米(海洋)同盟の補完的、双務的な関係構築が必要となる。
一方、グローバリゼーションの進展の中で日本の生存と繁栄を維持するには、シーレーンの安全確保を含む、国際的な安全保障環境の安定化のための多国間協調への主体的参画が必須だ。
このため、日米(海洋)同盟のソフト的側面(非戦争領域)での効用を最大限発揮することが得策である。
これらを踏まえれば、ハード的側面(「日米同盟海上防衛戦略」)とソフト的側面(『地球規模海洋協力構想』)の両面で、日米同盟の海洋戦略を構築することが緊要となる。

 

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