「普天間で自爆」を選んだ鳩山の怪

昨日、午前11時テレ朝「サンデー・フロントライン」は、鳩山首相の沖縄訪問を独占生中継で報じた。内容はすでに何度も報道されている通り、辺野古に決まったことと県外への県民の怒りについて話題の中心をあてている。もちろん、基地問題は県民の民意なくして難しいし、国内のマスコミとすれば話題は県民感情に持っていこうとする。今朝からのテレ朝「ワイド!スクランブル」は「鳩山総理に県民の怒り爆発」としていた。

念のため誤解のないように申し上げたいが、アメリカ側も「民意が得られないと基地建設は難しい」と述べているように、県民感情が大切であることは言うまでもない。しかし、国の安全保障はまず政府が決定する重要な政策であり、日米安全保障は国同士の重要事項であるので、安全保障の方針がどうあるべきかをまず優先的に捉えなければならない。

付け加えれば、こういう大きな問題の優先権が関わることからも、民主党の掲げている「地域主権」という愚かな誤解を与えるような安易な使い方は絶対に止めてもらいたいのだ。憲法にある主権とは国家・国民にあるものだから。

アメリカのメディアはどう見ているのかを見てみたい。

[オブザーヴィング日本政治]「普天間で自爆」を選んだ鳩山の怪

ニューズウィーク コラム&ブログ by トバイアス・ハリス 2010年05月17日(月)18時23分

普天間問題は、既に鳩山政権に大きなダメージを及ぼしている。内閣の支持率は20%を下回り、7月の参院選で与党が過半数割れするのは確実に見える。

未来の歴史家が鳩山政権の歴史を書くとき、最も頭を悩ませるのは、なぜこの政権が普天間問題を最重要課題に位置付けたのかという点だろう。

鳩山政権が行ってきたことのなかには、事業仕分けや選挙運動の自由拡大などそれなりに評価すべきものもあるが、普天間問題により、政権は致命的な打撃を被ってしまった。鳩山由紀夫首相のリーダーシップの欠如が指摘されるに至った最大の原因は、普天間問題の対応のまずさにあると言って差し支えないだろう。批判を招いたのは、この問題に関する政府の方針というより、政府が方針らしい方針を示せずにいる状況だ。

■手を着けずに済む問題だった

しかし鳩山政権はどうして、明確な行動計画もないのに、就任早々に普天間問題の泥沼に踏み込んでいったのか。

政権が発足した当時、最も簡単で賢明な選択肢は、問題を先送りすることだった。普天間飛行場の移設は、自民党政権の時代に既に予定から遅れていた。経験不足の新しい与党が政権に就いたという事情を考えれば、それをさらに遅らせても許されたはずだ。少なくとも、参院選後まで先延ばしすることは可能だったに違いない。

民主党が09年の衆院選を戦った際のマニフェスト(政策綱領)で掲げたのは、主として経済政策と国内政策だった。外交政策にはあまり触れていない。この面でも、普天間問題の解決を1年間先送りしても大きな問題はなかったはずだ。

鳩山政権は、なぜそうしなかったのか。鳩山が普天間問題に深入りした理由としては、いくつかの可能性が考えられる。

第1は、計算ミスをしていた可能性だ。バラク・オバマ大統領と一対一で話し合えば、沖縄の住民とアメリカ政府の両方が満足する解決策を見いだせると、鳩山は思い込んでいたのかもしれない。あるいは、アメリカがもっとあっさり譲歩すると思っていた可能性もある。

第2は、自民党政治との違いを鮮明にアピールする上で、普天間問題が打ってつけだと考えていた可能性もある。09年9月の政権発足から10年7月の参院選までは、1年足らずしか時間的猶予がなかった。しかし、多くの政権公約は実現するまでに時間が掛かる。その点、普天間問題であれば参院選の前に「結果」を出せる……と判断したのかもしれない(こうした甘い認識は、第1の可能性とも共通する)。

第3は、民主党がイデオロギーに突き動かされて行動したという可能性だ。しかしこの可能性は小さいと、私は思っている。鳩山政権がこの問題で強い信念をほとんど打ち出していないことがその何よりの証拠だ。政府はすべての当事者を満足させることを重んじ、普天間飛行場移設先の代替地を探す必要性しか感じていないように見える。

第4は、この問題をただちに解決すべきだと、衆院選の選挙戦を戦う過程で民主党指導部が思うようになり、その判断どおりに行動した可能性だ。

■このままでは「11月」も危うい

以上のどの仮説が鳩山政権の思考回路を最も的確に言い当てているかは分からない。そもそも、いずれの仮説も見当外れの可能性もある。

実際には、はっきりした理由などないのかもしれない。だからこそ、鳩山政権はきちんとしたプランを持ち合わせていない(ように見える)のに、普天間問題にさまよい込んでいったのだろう。

いずれにせよ、これまでの鳩山政権の対応のまずさを見る限り、期限を11月まで延長したところで、その期限までに普天間問題に決着をつけるのは簡単でないかもしれない。

[追記] この記事を私の英語版のブログに掲載した後、読者から指摘を受けた。本文では言及しなかったが、鳩山政権が普天間問題に深入りした原因としては、アメリカ政府の圧力が作用した面もあっただろう。

鳩山政権の発足間もない時期に日本を訪れたロバート・ゲーツ国防長官は、日本政府に露骨に圧力を掛けた。11月のバラク・オバマ大統領の訪日も、間接的な圧力になった。大統領が来日すれば、日本政府としては、大統領に「お土産」を用意しなければならないという意識が働くからだ。

日米間の「緊張」を報道した日本のメディアによって、鳩山や閣僚たちの発言や提案、約束は、ことごとく大きく取り上げられた。つまりこの問題で何か行動を取れば取るほど、鳩山政権はますます泥沼に深くはまり込んでいったのである。普天間問題については、引き続きこのブログで書いていきたい。

[日本時間2010年5月16日午前10時11分更新]

拙者(私)は、第3は可能性が小さいと筆者が書いているし、第4は09年の衆院選を戦った際のマニフェスト(政策綱領)で掲げたのは、主として経済政策と国内政策で、外交政策にはあまり触れていないし、鳩山総理も県外は個人の思いであると発言しているので民主党指導部の判断ではないだろう。筆者の想定する4つの可能性では1と2だろうと太字にした。

TBS時事放談に出演していた新党さきがけ結党で共に自民党から離脱した武村正義氏や、田中秀征氏らは、あの頃と今の鳩山氏を評価して、政治家として進歩したかと尋ねられ、少しも変わっていないという。また、鳩山という人を閣僚である民主党議員や亀井静香氏も一応に「良い人」だとコメントはするが、政治家としてどうなのかは無言である。渡部恒三氏も良い人なんだよ、だけど…で一致している。

結局、風見鶏のようであってまさにくるくる空回り(ループ)しているだけで、誰の意見も聞かず進歩しようとする人間力が欠けているのではないだろうか。客観的に様々な意見を参考にせずに、分からなくなってしまって自分の頭の中だけで判断してしまう。そのようなタイプはリーダーとしては悪循環に陥るのである。

話の次元がぐっと下がるが、自分の体験からいえば、自治会でゴミの収拾場所をどこに決めるかで誰も自分の家の近くにされると嫌がることは多々ある。決まらない場合は、持ち回りでローテーションにしようという案が上がることもある。しかし、消防団で消火栓をどこに設置するかは防火の点で最善の場所を練るし一度工事して決めれば簡単には動かせない。言うまでもないが、防衛の要である基地はそんなことでは有事を想定すれば、軍事上地政学で位置は自ずと決まってくる。沖縄の住民とアメリカ政府の両方に良い顔をしたいがために、定期的に移動できるものではもちろんない。

いや自治会長ならまとめ役として、話をまとめて無難な結論でもいいかも知れないが、国民の生命を保障する重い責任がのしかかる外交と安全保障は、場当たり的な対応では、誰にとっても不満足で最悪の結果をもたらす。総理大臣の仕事は、身を賭して前に進む強い意志決定力だ。だから重責を担うのは大変なのだろう。普天間だけではない。何もかも一向に前に進んでいない。むしろ悪化し財政も余計に無駄を増やしていこうとしている。それができないなら総理大臣としては、細川、村山、の記録を上回る至上最悪の総理として歴史に残る可能性が高い。どうして首相になったのか、自民党の怠慢が民主党を勝たせて、小沢の辞任で代表交代になったのも流れであって実力ではなく、気がついたら鳩山首相が誕生していたのだ。それは結局は国民の責任ということに帰結するだろう。

少なくても、参院選で民主党に勝たせてはもっと恐ろしい事態を生む。それだけは国民の投票によって避けなければなるまい。みんなこんな統治能力のない政権に構っていられるほど暇でのろまな国民ではないのだ。

編集長の竹田圭吾氏は、次のように記している。(2010年05月19日)

アメリカから見た普天間劇場

在外米軍についてワシントンの官僚が実情をろくに把握せず、現場の制服組が途方に暮れたりブチ切れたりすることはしょっちゅうある。中東政策はワシントンの中でも常に意見が分かれ、とくにブッシュ前政権ではホワイトハウスに各省、副大統領、ネオコン、中東ロビーが入り乱れて収拾のつかないことになっていた。

普天間問題については、アメリカ側の当事者、利害関係者、外野のグループは今、どう思ったり感じているのだろうか。それぞれの胸の内を勝手に想像してみると――

■オバマ政権(ホワイトハウス)

この程度の問題で同盟関係が揺らぐのは困る。日本が重要だからではなく、今の日米同盟は中国に対するカウンターバランスとして大きな意味を持っているから。現に最近、普天間のこじれをあざ笑うかのように中国軍の船が日本の近海をうろうろし始めたではないか。日本のように付き合いの長い同盟国との関係が悪化すると、共和党や保守派のうるさい連中がガミガミ文句を言うのも困る。

それより厄介なのは、これがネックとなって太平洋地域の米軍再編のタイムテーブルが狂うこと。QDR(4年次国防計画見直し)を発表したばかりというのに、政治的にも予算的にもコストが高いのでそれは避けたい。

■民主党全国委員会

つべこべ言ってないで、何でもいいから早く決着をつけてくれ。中間選挙まで半年を切ったというのに、医療保険制度改革の不人気もあって見通しはひどく暗い。外交ではただでさえイスラエルとの関係悪化、イランを制御できないことで批判を浴びている。このうえ対日関係まで民主党の失点にカウントされるのは勘弁してほしい。

■国務省

ハトヤマもオカダも何を考えているのかさっぱりわからない。基地問題、沖縄の問題がこれまでの経緯からとても難しいしがらみを持っていることは理解できる。歴史的な政権交代を達成したのだから、この問題にも手をつけようという気持ちもよく理解できる。

とはいえ、これが安全保障に関わる問題という認識があるのだろうか。政治的なリスクをなくすために地元への配慮は当然必要だが、安全保障は国の専権事項という冷徹な前提で取り組まなければ事が進むはずはない。日本のどこだろうが、国が「ここ」と決める以外ない。

中台関係が以前より安定し、インドやブラジルのプレゼンスが高まり、朝鮮半島も当分片がつきそうにない状況で、日本との間がぎくしゃくしてしこりが残るようなことは地政学的に極めて好ましくない。自民党時代なら日本のほうから「そろそろガイアツをお願いします」と言ってきたかもしれないが、そういう様子もないし、どうしたものか…。

■国防総省

官僚としてのキャリアの半分以上をCIAとNSC(国家安全保障会議)で過ごし、対イラク戦略の見直しを路線化した超党派のベーカー委員会にも加わったゲーツ長官から見れば、「こんな大局観の欠けた議論に関わっているヒマはない」。

日本側の代替案さえまとまらない今の状況で、国防総省として4年前の日米合意から踏み出す理由は何一つない。普天間の移転がなければグアム移転もない。基本的に国務省マター。カート(・キャンベル国務次官補)、とりあえずよろしく。

■海兵隊上層部

現役の総司令官も含めて「基地が沖縄である必要はない」と何度も言っているのに、なぜか日本のマスコミはあまり大きく取り上げないし、政治家も無関心。再編の件では、ラミー(ラムズフェルド前国防長官)の気まぐれにさんざん振り回されてきた。いい加減、腰を落ち着けたい。

戦闘部隊とヘリ拠点を切り離すなんて笑えないジョーク。とっぽいアーミーが主体のドイツや韓国の米軍と一緒にしてもらっては困る。本気でそんな案を持ち出すならキレますよ。プライムミニスターが言った「腹案」が何かは知らないが、今だって訓練は本土のあちこちに出張してやっている。どうしてもっとまともな代替案が出てこないのか。
■在沖縄部隊の一部の兵士

よその駐留先に比べて沖縄はパラダイス。だから基地はいつまでもあってほしい。まあグアムでもいいだろうけど。テニアン? それってどこ? ビーチあるの?

■米議会上院

(去年) このご時世にグアム移転費4億ドル? とんでもない。しかも日本の中で何かもめ始めたじゃないか。そんなものは大幅カット。

(今年) ホワイトハウスがどうしてもと言うから削減分を復活させたし、ベトナムの英雄ジム(・ウェブ上院外交委員会東アジア・太平洋小委員会委員長、元海兵隊員)ももう少し日米政府の努力を見守ってほしいと言うから、2011会計年度予算でも政府案通りのままで可決した。議会の圧力で移設が潰れたと言われるのも困るし。ただ、予算をつけた以上、話がまとまらなくて執行されなかったら政治責任を追及するからね。

■保守派・右派・共和党

真面目な話、日本との軍事的な同盟関係にネガティブな影響が出るのは困る。中国や北朝鮮を利してどうする。でも、とりあえずはオバマを口撃する材料として使わせてもらおう。

■米メディア

おや、あの大人しい日本人が何万人も集まってデモをしているぞ。これは珍しい。何で騒ぎになってるのかわからないが、とりあえずニュースに入れておこう。

オキナワ? 米軍基地? あ、そう。長いリポートはとりあえずいいよ。財務大臣が変わったら連絡してくれ。

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